この草が取り上げられた文学作品としては,キーツ(John Keats 1795 –1821)の『イザベラ』(Isabella,Or the Pot of Basil, 1820) が有名で,この詩で彼はローマ時代のフィレンツェの名家の娘 Isabella が,金満家との結婚を望む兄達に殺された恋人,使用人の Lorenzo の首をつぼに隠し,その上にbasil を植えて,涙の水を切らさなかったことを詠った.
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| William H. Hunt (1827-1910) | 
And so she ever fed it with thin tears,
 Whence thick, and green, and beautiful it grew,
Whence thick, and green, and beautiful it grew, So that it smelt more balmy than its peers
Of Basil-tufts in Florence; for it drew
Nurture besides, and life, from human fears,
From the fast mouldering head there shut from view:
(かくて彼女はそれに絶えず涙を注ぎ, 
バジルはやがて太く青く美しく育って,
フローレンスいちの香りを放った.
なぜならそれは,人間の恐れや
隠されて急速に朽ちゆく頭蓋から
栄養と生命とを吸っていたから.)
この話は Keats がボッカチオ (Giovanni Boccaccio, 1313 –1375) の,『十日物語』 (Decameron (1350 -1351/3) のメッシーナを舞台にした “The Tale of Lisabetta and her pot of basil (IV, 5) ” のイメージを膨らませた作品である.古くはイタリアでも basil で墓を飾っていたのかもしれないが,恐らくは Boccaccio 自身もこれを東方から借用したと見られている.
バジルはやがて太く青く美しく育って,
フローレンスいちの香りを放った.
なぜならそれは,人間の恐れや
隠されて急速に朽ちゆく頭蓋から
栄養と生命とを吸っていたから.)
この話は Keats がボッカチオ (Giovanni Boccaccio, 1313 –1375) の,『十日物語』 (Decameron (1350 -1351/3) のメッシーナを舞台にした “The Tale of Lisabetta and her pot of basil (IV, 5) ” のイメージを膨らませた作品である.古くはイタリアでも basil で墓を飾っていたのかもしれないが,恐らくは Boccaccio 自身もこれを東方から借用したと見られている.
この,甘い香りのバジルと,陰惨な生首との対比は多くの芸術家の創作意欲を刺激し,Boccaccio から始まり,Keats,Wilde,Strauss,Massenet,Schmidt,Klimt らに作品を生み出させた. 
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