Hibiscus coccineus
紅蜀葵播種三年を焦れて待ち 布川直幸 峰 201107
モミジアオイは,株分け或は種子から育てる.通常,夏から秋にかけて取れる種子を翌春に播き,発芽した株を育て,秋に枯れた地上部を刈る.その翌春,株元から出た芽はぐんぐんと育ち,高さ一メートルほどになると,枝分かれをした枝の先に多くて3-4
個の花をつける.花後,多くの種子を含む蒴果をつける.
種は黒い小さい球形で,突起があり,発芽率は良い.双葉はタチアオイと同様の切れ目のない全縁であるが,後から出てくる葉には切れ目が少しずつ入るようになり,茎や葉柄には赤い筋が入る.6枚目の本葉辺りから名に恥じないモミジ様の形になる.秋には高さ50-100㎝になり,やがて葉が黄色くなり,地上部は枯れる.
翌春,赤い部分がある濃い緑色の元気な芽が1-2本現れ,どんどんと成長する.葉は最初からモミジ葉で,大きく切れ目も深い.枝分かれをして初夏から蕾をつけ,通常一日花だが次々と真紅の目を引く花をつける.花辧の間に隙間があり,葉にも深い切れ目があるため,アメリカフヨウ等に比べると花色の割には涼しげで,暑っ苦しさを感じさせない.観賞時期は長い.
花後比較的大きな果実をつけるが,実成りは非常に良いので,若い株では採種目的以外,終わった花は切った方が翌年の株の成長が見込まれる.丸い実は大きな苞に囲まれて,可愛らしい.
①咲き終わった花
②若い果実 襟飾りの様な苞が可愛い
③熟した果実
④果実と種子
翌春鉢に播種
⑤鉢植:双葉(播種:2024-03-23):撮影 2024-05-03
⑥鉢植:双葉+本葉3枚(播種:2024-04-13):2024-05-16
鉢より降ろす.日当たりの良い地味の肥えた土地が最適だが,乾燥気味でもよく育つ.
⑦地植え,双葉+本葉6枚:撮影 2024-06-14
⑧地植え,葉がモミジ葉:撮影 2024-07-26
枯れた地上部を伐採,翌春新芽が伸びる.
⑨地植え,新芽:撮影 2025-04-18
⑩地植え,地上部,葉は最初からモミジ葉:撮影 2025-04-21
⑪地植え,伸びる地上部:撮影 2025-05-27
⑫地植え,開花:撮影 2025-08-17
条件がよろしいと,播種した年に十分成長して開花する.花が着く時期は遅いが,日照時間が短いと3-4日観賞できる.
⑬一年目開花株の根元,切れ込みの無い葉が残存
⑭花:撮影 2025-10-20
⑮同一の花:撮影 2025-10-21
⑯同一の花:撮影 2025-10-22
●布川直幸(ぬのかわなおゆき)【Profile】:1945年神奈川県川崎市出身、茨城県石岡市在住.1976年「氷海」入会.→清水径子に師事.「氷海」終刊後、1978年「峰」創刊に参画.1981年「河」入会、後同人.2005年「峰」主宰継承.現代俳句協会会員.茨城県俳句作家協会会員.
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