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その後,ネットで調べると,利尻島の平地で栽培されているこのケシ属の植物は,リシリヒナゲシとは異なるリシリヒナゲシモドキとも云うべき植物であろうということが分かり(http://48986288.at.webry.info/201001/article_6.html),さらに,「これ何?」サイトに投稿したところ,交雑種というより,海外からの移入された園芸種の可能性が高いということを教えてもらった.
この問題については,北海道大学農学部の山岸研究室でも多大の関心を払っており,2008年にはリシリヒナゲシとリシリヒナゲシモドキの葉緑体DNA上のtrnL-Fおよび核リボソームDNA上のITS領域の塩基配列を解析し,その結果,リシリヒナゲシとリシリヒナゲシモドキは別種であることを確認し,またリシリヒナゲシモドキが,播種によって自生地にも定着していることも明らかにした.
更に2009年には遺伝子解析の結果から,このリシリヒナゲシモドキは,欧州で園芸植物として広く栽培されている P. miyabeanum であろうと報告している(http://www.springerlink.com/content/1021712008317k55/).しらべると,このP. miyabeanum は比較的高温にも耐える非常に栽培しやすい種であり,本州でも栽培に困難は無く,欧州では広く帰化していることが分かった(右).
このように,利尻島市街地で栽培されるケシはリシリヒナゲシは異なっていることが証明されているにも関わらず,現在でも自然観察ツアーを催行している旅行会社のブログで,「リシリヒナゲシは利尻山の山頂部でしか見られないと思いきや、何と平地でも見ることが出来る。これは利尻島をリシリヒナゲシの里にしようと島民の方々が植えたもので、島を廻ると民家の玄関先や昆布を干す「無砂干場」に見られる。」と掲載するなど,誤解を招く情報が氾濫している.
情報不足のために,「善意」が原生地を破壊し,また遺伝子攪乱で貴重な植物を絶滅させることのないよう,利尻に住む人,利尻の花を見に訪れる人に,教育も含めて色々な媒体で十分な情報を与えることが必要では.
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