ツグミは明治時代から昭和22年(1947)に狩獵対象から外されるまで,野鳥としては,スズメと並んで最も多数,量(羽×体重)ではスズメを抜いて最も多量に捕獲されて,食用とされた(次々記事).
明治六年(1873)に『鳥獸獵免許取締規則(鳥獸獵規則)』が公布されたが,これは獵銃を扱う際の法律であり,また,明治十年(1877)には,銃獵を行える期間・時間が規制されたが,狩猟対象に関しては特段の制限はなかった.
明治二十五年(1892)の『狩猟規則』には,銃猟以外に放鷹,黐縄叉は擌を用いる猟が免許を得るべき猟法として指定され,更に「鳥獸保護」の章によって,ツル,ツバメ,ヒバリなど,保護すべき(捕獲禁止)鳥獸が指定された.その第二十五條においてツグミには「三月十五日ヨリ十月十四日マテオ保護期間トシ其期間捕獲スルコトヲ禁ス」と一応の保護期間が設定されたが,ツグミが日本に渡ってくる時期を考慮すると,この規制による保護の効果はほとんどなかった.
1873年 明治六年一月二十日太政官布告第25号 『鳥獸獵免許取締規則(鳥獸獵規則)』
〇第二十五號 (一月二十日)(布)
鳥獸獵免許取締規則等別紙ノ通被定候ニ付管内無遺漏觸示シ願出候者有之候者ハ身元並近傍故障
有無相糾差支無之ハ規則ニ照準鳥獣獵免許鑑札相渡屹度取締可相立事
但從前ノ獵銃税ヲ相廢シ第二十八號布告ノ銃砲取締規則第六條ハ此規則ニ引換候事
一 従来鳥獸獵差許來候地所ノ字地名共取調七月迄大蔵省ヘ届出銃獵ノ分ハ陸軍省ヘモ可届出事
但從來許來候地所ニテモ人民障碍相成候場所ハ更ニ禁止ノ見込取調本文同様可申立事
一 鳥獸獵免許ノ者ハ新古ニ拘ラス名面取調毎年十二月迄大蔵省ヘ届出銃獵ノ分ハ陸軍省ヘモ可届出事
一 鑑札免許税ハ収入ノ度毎大蔵省ヘ相納一ケ年分一人別帳ヲ製シ毎年十二月限リ同省ヘ差出右總計ハ雑税帳ヘ組入歳入皆濟帳ヘ以成算可致事
一 新規免許鑑札願出候者ハ時間ノ遅速ニ拘ラス税金ハ一ヶ年ノ本額可爲納事
一 過料金ハ一ヶ年ニ括リ明細仕譯書ヲ以テ司法省ヘ可差出事
一 鑑札雛形ノ通相心得焼印並割印ノ儀ハ在來相用爲見本一枚大蔵省ヘ可差出事
一 從前免許鑑札ヲ渡置モノ此規則ニ從ヒ免許改渡税金上納濟ノ分ハ下戻更ニ本額ノ税金可爲致上
納事
右之通候事
右之通候事
(別紙)
鳥獸獵規則
第一條
銃砲ヲ用テ鳥獸ヲ獵シ以テ生活トスル者ヲ職獵トシ遊樂ノタメニスルヲ遊獵トス
第二條
銃獵ノ事今免許鑑札ナキモノ一切禁止シ有害ノ鳥獸ヲ威シ或ハ殺スコトハ地方官ノ便宜ニヨリ臨時ノ免許ヲ與フヘシ
第三條
職獵遊獵トモ必ス願書ニ名住所身分年齢ヲ記シ地方官廳ヘ願出免許鑑札ヲ受ケ出獵ノ節ハ必ス之ヲ所持スヘシ
第四條
獵鑑札ハ一人一己ノ用トナスヘクシテ只一ヶ年ノミ効アリトス
第五條
鑑札ヲ渡スニハ職獵ニハ壹圓遊獵ニハ十圓ツヽノ税ヲ納ムヘシ
第六條
鑑札ハ各地方廳ニテ別紙雛形ノ通製造シ相與ヘ尚翌年モ願出ルモノハ最前ノ手續ヲ用ユヘシ
第七條
鑑札ハ貸借或ハ賣買スルコトヲ禁ス
第八條
鑑札ヲ遺失スル者及遺失セル観察ヲ拾ヒ得ル者ハ直ニ管廳ヘ届出ツヘシ
但其遺失セシ者ハ印鑑遺失例ニ照スヘシ
但其遺失セシ者ハ印鑑遺失例ニ照スヘシ
第九條
左ノ輩ヘハ鑑札ヲ與フヘカラス
一 十六歳以下ノ幼者
一 獵銃用ヒ方ヲ知ラサル者
一 白痴瘋癲等人事ヲ辧セサル者
一 故ナク弓箭銃砲ヲ放ツノ刑ヲ受ケシ者
一 山林田野川澤等ノ監守者
一 獵事ニ關スル諸規則ヲ犯シ前計ノ言渡ヲ謹守セサルモノ
第十條 (略)
第十一條
左ノ場所ニハ銃獵スヘカラス
一 人家稠密ノ地
一 人家アル所及人ノ往來作業スル所都テ銃丸ノ迸リテ人ヲ害スルノ恐レアル所
一 禁獵制札ノ場所
一 他人ノ住居或ハ構内
但獵銃ヲ所持スル者銃砲取締規則ニ照準スヘキ事
一 人家稠密ノ地
一 人家アル所及人ノ往來作業スル所都テ銃丸ノ迸リテ人ヲ害スルノ恐レアル所
一 禁獵制札ノ場所
一 他人ノ住居或ハ構内
但獵銃ヲ所持スル者銃砲取締規則ニ照準スヘキ事
第十二條
獵ヲ禁スル地ニ非スト雖モ田畑植物ヲ踏荒シ且樹木ヲ毀損スルコトヲ厳禁トス
第十三條 銃獵期限ハ十二月一日ヨリ三月中ヲ限リトス右時限ノ外ハ出獵ヲ禁ス
但銃獵期限ハ地方ノ模様ニヨリ其見込ヲ以テ此期限ヲ伸縮シ山間等沿革ノ地ハ其期限ヲ定メサルコトモアルヘシ
但銃獵期限ハ地方ノ模様ニヨリ其見込ヲ以テ此期限ヲ伸縮シ山間等沿革ノ地ハ其期限ヲ定メサルコトモアルヘシ
第十四條 戸長邏卒地主山林田畑川澤等ノ監守者銃獵者所持ノ鑑札ヲ檢査スルノ權アルヘシ若シヲ犯スモノハ右ノ輩申立ニ據リ
ソノ罪ヲ論ス猶決シ難キ時ハ證人ヲ以テ證スヘシ
ソノ罪ヲ論ス猶決シ難キ時ハ證人ヲ以テ證スヘシ
第十五條 (以下第二十三條まで略)
第二十四條 鳥獸ノ死シ或ハ落酔スヘキ餌或ハ藥品ヲ用井テ獵スルコトヲ禁ス
第二十五條 (以下略)
明治十年一月廿三日 第十一號布告
★鳥獸獵規則
第一條
小銃ヲ用テ鳥獸ヲ獵シ生業トスル者ヲ職獵トシ遊樂ノ爲ニスルヲ遊獵トス
第二條
銃獵免狀ナキ者ハ總テ銃獵スルヲ禁ス但有害鳥獸ヲ除ク爲メニハ地方官ノ便宜ヲ以テ臨時ノ免許ヲ與フヘシ
第三條
銃獵免狀ヲ得ント欲スル者ハ願書ニ族籍職分住所姓名年齢ヲ詳記シ東京府下ニ於テハ内務省(警視廳云々)其他ハ該地方官廳ハ差出スヘシ
第四條
免狀ハ其効一期限ニ止ルモノトス免狀ハ貸借
第五條
免狀ヲ願受クル者ハ左ノ通リ免許税ヲ納ム
一 職獵税 金壹圓
一 遊獵税 金拾圓
一 職獵税 金壹圓
一 遊獵税 金拾圓
第六條
(免狀ノ毀損,盗難,紛失ノ場合ノ処置)
第七條
(免狀ヲ付与デキナイ者ノ条件)
第八條
左ニ記列シタル場所ニ於テハ獵銃ヲ爲スヲ禁ス
一 都府市街地ハ勿論衆人羣集ノ場所
一 銃丸ノ達スヘキ恐レアル人家ニ向ヒタル距離
一 禁獵制札ノ場所
但制札ハ獵銃二挺ヲ交叉シタル圖ノ下ニ銃獵禁制ノ四字ヲ記シ掲ケ置クヘシ
一 作物植付アル田畠内或ハ社寺人家等ノ構内
但シ該主叉ハ管守人ノ許諾ヲ得タル者ハ此限リニアラス
一 都府市街地ハ勿論衆人羣集ノ場所
一 銃丸ノ達スヘキ恐レアル人家ニ向ヒタル距離
一 禁獵制札ノ場所
但制札ハ獵銃二挺ヲ交叉シタル圖ノ下ニ銃獵禁制ノ四字ヲ記シ掲ケ置クヘシ
一 作物植付アル田畠内或ハ社寺人家等ノ構内
但シ該主叉ハ管守人ノ許諾ヲ得タル者ハ此限リニアラス
第九條
(獵銃ノ定義,制限)
第十條
銃獵期限ハ十月十五日ヨリ四月十五日迄ヲ以テ一期トス是時限ノ外ハ銃獵ヲ禁ス
但地方ノ景況ニ依リ已ムヲ得ズコノ時限ヲ伸縮スルトキハ其理由ヲ農商務省ヘ届出ヘシ
但地方ノ景況ニ依リ已ムヲ得ズコノ時限ヲ伸縮スルトキハ其理由ヲ農商務省ヘ届出ヘシ
第十一條 日没ヨリ日出迄ノ時間ハ銃獵ヲ禁ス
第十二條 (以下第十七條まで略)
明治二十五年十月 勅令 第八十四號
★狩猟規則 ( 明治25年10月 6日勅令第84号 )
第一章 獵具獵法
第一條 此規則ニ於テ狩猟ト称スルハ銃器、各種ノ網、放鷹,黐縄叉ハ擌ヲ以テ鳥獣ヲ捕獲スルコトヲ謂フ
前項各猟具ノ種類及制限ハ農商務大臣ノ定ムル所ニ依ル
第二條 爆發物、据銃若シクハ危險ナル罠若シクハ陥穽ヲ以ッテ狩獵ヲ爲コトヲ得ス
前項ノ外ノ猟具、猟法ニシテ第一條ニ掲ケサルモノニ就テハ地方長官(東京府下ハ警視總監以下倣之)ハ農商務大臣ノ認可ヲ經テ便宜取締規則ヲ設クルコトヲ得
第三條 日出前、日没後又ハ市街、人家稠密ノ場所、衆人群集ノ場所ニ於テ若クハ銃丸ノ達スヘキ虞アル建物、船舶,汽車ニ向テ銃獵ヲ爲スコトヲ得ス
第四條 左ニ掲クル場所ニ於テハ狩猟ヲ為スコトヲ得ス
一 御猟場
二 禁猟制札アル場所
三 公道
四 公園
五 社寺境内
六 墓地
七 欗,柵,圍障ヲ設ケ叉ハ作物植付アル他人ノ所有地但所有者叉ハ管理人ノ承諾ヲ得タルトキハ此限リニ在ラス
第五條 地方長官ハ土地所有者ノ出願ソノ他ノ理由ニヨリ必要ト認ムル場合ニ於テハ禁獵制札建ツルコトヲ得
第二章 狩猟免許
第六條 狩猟ヲ爲サント欲スル者ハ地方長官ニ願出テ免狀ヲ受クルヘシ但欄、柵又ハ圍障アル宅地内ニ於テ銃器ヲ使用セスシテ狩猟ヲ爲ス者ハ此ノ限ニ在ラス(以下略)
第七條 免狀ヲ分チテ職獵免狀,遊獵免狀トシ更ニ分チテ各甲乙二種トス
職獵免狀ハ生計ノ爲ニ狩獵ヲ爲ス者ニ下付シ遊獵免狀ハ有樂ノ爲ニ狩獵ヲ爲ス者ニ下付スルモ
ノトス
甲種免狀ハ銃器ヲ使用セスシテ狩獵ヲ爲ス物ニ下付シ乙種免狀ハ銃器ヲ以テ狩獵ヲ爲ス者ニ下
付スルノノトス
第八條 左ニ掲クルモノハ狩獵免狀ヲ受クルコトヲ得ス
一 判任以上ノ官吏及其待遇ヲ受クル者
二 所得税ヲ納ムル者
三 地租拾五圓以上ヲ納ムル者
四 所得税拾五圓以上ヲ納ムル者ノ家族
第九條 免狀ヲ受クル者ハ左ノ區別ニ從ヒ免許料ヲ納ムヘシ
狩獵免狀 甲種 金五拾錢
乙種 金一圓
遊獵免狀 甲種 金五圓
乙種 金拾圓
第十條 甲種免狀ノ有効期限ハ十月十五日ヨリ滿一箇年トシ乙種免狀ノ有効期限ハ十月十五日ヨ
リ翌年四月十五日マテトス
第十一條 (略)
第三章 獵區設定 (略)
第四章 鳥獸保護
第二十四條 左ニ掲クル鳥獸ハ捕獲スルコトヲ禁ス
一 鶴各種
一 燕各種
一 雲雀
一 鶺鴒
一 四十雀(シジフカラ)
一 日雀(ヒカラ)
一 五十雀(ゴジフカラ)
一 葦雀(ヨシキリ)
一 鷦鷯(ミソサザイ)
一 杜鵑
一 啄木鳥(キツヽキ)
一 鶲(ヒタキ)
一 椋鳥(ムクトリ)
一 田〓(タヒバリ)
一 一歳以下ノ鹿
第二十五條 左ニ掲クル鳥獸ハ三月十五日ヨリ十月十四日マテヲ保護期間トシ其期間捕獲スルコトヲ禁ス
一 雉
一 鸐雉(ヤマドリ)
一 鶉
一 鴻雁
一 鳬各種
一 鷸(シギ)各種
一 鷭(バン)
一 鵠(クヽヒ)
一 鶇(ツグミ)
一 鷺各種
一 鳩各種
一 鵙(モズ)
一 樫鳥(カシトリ)
一 秧鶏(クヒナ)
一 鹿
一 羚羊(カモシカ)
一 兎
地方長官ハ土地ノ情況ニ因リ農商務大臣ノ認可ヲ經テ適宜三十日以内前項ノ期限ヲ伸縮スルコトヲ得
第二十六條 (有害鳥獸ノ驅除)
第二十七條 捕獲ヲ禁セサル鳥獸ト雖モ特ニ保護ヲ要スルトキハ農商務大臣ハ此規則ニ拘ハラス其捕獲ヲ停止スルコトヲ得
第二十六條 第二十四條及第二十五條ニ掲クル鳥類ノ卵叉ハ雛ヲ取リ若クハ之ヲ賣買スルコトヲ禁ス
第五章 罰則
(以下略)
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