ツタンカーメンのエンドウに多数の実がなっている.緑色の莢のエンドウを見慣れていると,黒紫色の莢がぶら下がっている光景はかなり異様.この色が何に由来するのか,一寸実験をしてみた.予備的に数個の莢をステンレスの鍋で食塩を加えて煮たところ,青い色の液を得た.これに食酢を加えたところ赤色に,重曹水を加えたところ緑色に変色した.
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また,いわき市在住の植物愛好家トミーさんからは紫キャベツの抽出液のpH依存的変色(http://www.hyogo-c.ed.jp/~rikagaku/jjmanual/jikken/omo/omo23.htm)との類似性を指摘された.
そこで,吉田先生のアドバイスに従い,新鮮な莢をガラス容器中で煮沸したところ,前回と異なり紫色の液を得た.これに食酢を加えたところ,美しい紅色に,浴槽洗浄用の重曹水を加えたところ鮮やかな緑色に変わった(左図,中央:無処理抽出液,左:重曹水添加,右:食酢添加).
従って,吉田先生やS氏のコメントの如く,ツタンカーメンのエンドウの莢の色はアントシアニン系色素で,莢の地色の緑色と重なって,黒紫色を示すと考えられた.一方,育てている株の中には緑色の莢をつけるものや,黒紫色のまだら模様の莢をつけるものもあり,種を下さった川口市在住のH氏の話では,白い花をつけるエンドウとの交雑種ではないかとの事.なおこれらの株も,花は黒紫色の莢をつける株と同様に赤紫色である.
また,花を莢同様に処理したところ,同じような変色を呈したことから,花の赤紫色もアントシアニン系と考えられる.(花の画像は,「ツタンカーメンのエンドウ (1)」),(色素の化学構造文献は「ツタンカーメンのエンドウ(3)」)
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