Scilla peruviana
江戸中期の博物学者★平賀源内『物類品隲』(1763)は,師の田村元雄とともに1757年以来,5度にわたって開いた薬品会(物産会)の出品物,合計2000余種のうちから主要なもの360種を選んで,産地を示し解説を加えたもの.本文4巻,産物図絵1巻,付録1巻,計6巻からなる.
この叢書の第二巻「石部」に「ベレインブラーウ」という輸入された青い染料の記述があり,その中にこの染料は『予カ家 紅-毛花譜一-帖ヲ藏ム 品-類凡ソ數-千-種 形-狀設-色皆奪フレ真ヲ 其青-碧-色ノモノハ 此ベレインブラーウニテ彩ルト見エタリ』と「所蔵している紅毛花譜には数千種の実に写実的な図が収められているが,使われている「青碧色」はベレインブラーウであろう」ある.
ベレインブラーウは北斎が「神奈川沖浪裏」等に好んで用いた「べろ藍」,即ち「ベルリン青 Berlijn blauw」(プルシアンブルー Pruisisch blauw, Prussian blue)であると考えられる.(平福百穂『日本洋画曙光』(1930)参照)
この記述により,源内が入手したのは,手彩色したスウェールツ著『花譜』(Florilegium)である事が分かる.
「△ ベレインブラーウ 紅毛人持-來ル扁-青ニ似テ質軽
ク扁青ニ比スレバ色深クシテ甚鮮ナリ予カ家紅-毛
花譜一-帖ヲ藏ム品-類凡ソ數-千-種形-狀設-色皆奪フレ真ヲ其
青-碧-色ノモノハ此ベレインブラーウニテ彩ルト
見エタリ其ノ色至テ妙ナリ東壁曰ク有二天-青大-青西-夷
囘-囘-青佛-頭-青一種種不レ同囘-囘-青尤モ貴シト疑ラクハ此ノ
物囘-囘-青ナラン」
ベロ藍は1704年、ドイツ・ベルリンの染料業者が偶然に発見した化学的な合成顔料で、日本には延享4(1747)年に初めて輸入されたと伝えられる.
源内が,宝暦11年(1761)に入手したスウェールツ『花譜』(Florilegium)は、1631年版で,手彩色されていた.冒頭図は
NDL 所蔵の 1647 年版からの圖.(https://www.ndl.go.jp/nichiran/data/L/M1/M1-001l.html)
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