1979年5月 Cambridge University Botanic Garden.紫花がクリンソウ,黄色い花はセイヨウリュウキンカ |
C. Morren (1871) E. Step (1897) |
右:1897年,エドワード・ステップ(Edward Step FLS, 1855–1931,英国)の「庭園と温室の好ましい花(FAVORITE FLOWERS of GARDEN AND GREENHOUSE, 1896-97),多色石版
"Primula JAPONICA (Japanese). Leaves large oblong-spoon-shaped, wrinkled and coarsely toothed. Flowers in several whorls on the same scape, 1 to 2 feet high : crimson, maroon, lilac, rosy, or white, the rim of corolla-tube differently coloured; March to May. Hardy in the South of England, naturalised in some parts. Introduced from Japan, 1871."
特に後者においては,フォーチュンが最初に移入した赤紫色以外の花色の品種が見られ,また 1871 年に日本からの導入した後 20 年ほどで,英国各地で帰化していると記している.
欧州北部でも耐寒性があり,庭植えに適しており,また群生させると見事なので,現在でも欧州ではファンが多くいて,2002年には,英国王立園芸協会(RHS)より,緋紅色と白色の2種の園芸種,'Miller's Crimson' と 'Postford White' に,栄えあるAGM(Award of Garden Merit,ガーデン・メリット賞)が授けられた.
Karl Blossfeldt (1928) |
クリンソウは日本と台湾に分布する.台湾では標高の3000-4000㍍の高地に生育し,その名称は「日本櫻草」で別名「七重草」「九輪草」である.「日本櫻草」は学名の中国語訳と思われるが,わが国のサクラソウ (Primula sieboldii) の呼び名の一つ ニホンサクラソウとかぶってしまう.
1972年に台湾中部の大霸尖山(標高 3,490 m)付近で採取された資料が國立台灣大學植物標本館に収蔵されている(http://tai2.ntu.edu.tw/specimen/species-specimen.php?folderID=505%20005%2003%200&display=pic).
*荒俣宏『花の王国』平凡社 1990/01-1990/11 には,「モレン,Ch. 「園芸のベルギー誌」35巻667図版.ほぼ手彩色で色づけされた石版は手堅いが,ルメールやエドワーズの園芸書ほどみごとではない.」とある.
**ドイツの彫刻教師.ベルリン王立芸術工芸大学で彫塑を教える.学生に,自然におけるデザインを教えるため,自ら撮影した植物の写真を用いたことで知られる.
リンク先は当ブログ内の記事.
○クリンソウ(3/4) ケンブリッジ大植物園,エイサ・グレイ,R.フォーチュン “Queen of the Primroses",カーチス ボタニカル・マガジン
○クリンソウ (2/4) 小林一茶 東莠南畝讖・梅園草木花譜・草木図説・百品考
○クリンソウ (1/4) 別名・地方名,毛吹草・花譜・大和本草・花壇地錦抄・草花絵前集・和漢三才図会・救荒本草・物品識名
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