Curtis's Botanical Magazine vol. 122 (1896) |
そして,説明文では,
A.
Gray in Mem. Am. Acad. Nat. Sc. vol. vi. (1858-9)
p. 383.
Miquel
Ann. Mus. Bot. Lugà. Bat. vol. iii. p. 91. (Prolus.
Fl. Jap. p255).
Franch.
& Sav. Enum. Pl. Jap. vol. ; p. 93.
Maxim,
in Mem. Acad.
Sc. Petersb. Ser. 3, vol. xxix. (1881) No. III. p. 9; Ic. p. 13.
Useful Plants of Japan (1895) p. 125. Ie n. 487.
Crotón Siraki, Sieb. & Zucc. Pl. Jap.
Fam. Nat. Sect. i. p. 36, n. 133, nomen. (ex
Maxim. l. c.).
Arbor foliis Rhamni, &c, Thunb. Fl. Jap.
359 ; pl. Obsc. n. 50.
と先行文献を紹介した後に,
「このドクウツギ属の植物(this Coriaria = 日本産ドクウツギ)の興味深い特長は,他の全ての知られている種の(果実)が黒から紫黒色であるのに対して,花と果実の萼(正しくは花弁)の色がさくらんぼ色から珊瑚色に変化する点である.この植物を日本で見たに違いないマキシモウィッチは実際に,ドクウツギの果実を紫色の果汁が取れる黒い実だとといい,一方グレイの短すぎる記相(《生物》〔生物分類において〕他の分類から区別するために、その分類の特徴を記述したもの。)には,色についての言及はない.また,(多分マキシモウィッチは正しいのだろうとは思うのだが)上に言及した文献では,グレイの日本種とみなされている種の果実が黒いか他の色かは疑問が残る.
しかし,幸運にも "Useful Plants of Japan* (including the poisonous !) " の上記に関するよい画像と短い記述があり,それによってここに図示した植物が日本においてC. japonica として知られている事が証明され,そこでは果実が輝かしい赤色であると描写され,また,「丸くて赤く大変美麗であるが,有毒」とあり,差し当たっては,この見解によって,キュウ植物園でのこの植物の非常に古くなった果実のいくつかが黒くなったことが観察されたのは,全く例外的であるである(と考えられよう).」 とある.
ここに引用された “Useful Plants of Japan” は大日本農会によって,1895年に刊行された “USEFUL PLANTS OF JAPAN, DESCRIBED AND ILLUSTRATED” で,そこには,“487. Coriaria japonica, A. Gr., Jap, Doku-utsugi ; a deciduous shrub of the order Coriariacesae growing wild in bushes and on river banks. It is a diaaecious or monaecious plant. It blooms in panicles, and the female flowers are succeeded with round red fruits, which are very pretty, but poisonous.”とある.
この書物は,田中芳男, 小野職愨共著『有用植物図説,第二十,有毒類』(明治24年(1891))の英語版であり,和原文は「四八七 ドクウツギ イチロベコロシ 木本黄精葉鉤吻 木本鉤吻科ノ落葉灌木ニシテ原野叉河邊ニ生ス雄本,雌本叉一株ニ雄花,雌花アリ其花穂状ヲナス雄*ハ花後円實ヲ結ブ熟シテ赤色艶美ナリ児童誤リ食シ往々死スル者アリ」とある(但し「雄ハ花後」は「雌ハ花後」の誤りと思われる.).服部雪斎による図画は木版として別冊で添付され,左図のような鮮やかな実が描かれている.
それまでに,英国には数種のドクウツギ属の植物は知られていて,栽培もされていたが(下図),日本産のドクウツギほど美しくはなかった.
Coriaria sarmentosa (Coriaria ruscifolia ) CBM v51, t.2423 (1824) New Guinea to South Pacific, Mexico to Southwestern Argentina
Coriaria myrtifolia "Dessin fleur Mediterranee" t.26 (1902) Western Mediterranean to Italy
Coriaria terminalis CBM v139, t.8525 (1913) Central & eastern Himalaya to China (Sichuan)
Coriaria nepalensis "Indian medicinal plants", v2, t.282 (1918) Pakistan to Southern and Central China
キュウ植物園の園長を 1922-1929 勤めた William Jackson Bean (1863-1947) の,現在でも英国樹木誌のスタンダードとされている“Trees and Shrubs Hardy in Great Britain” 2nd ed. Vol 1 (printed 1919)” という書物のドクウツギ属の樹木の紹介では,第一番に取り上げられていて, “The value of Coriaria Japonica as an ornamental plant is in the long racemose fruit, the showy part consisting of the accrescent petals of the pistillate flowers, which, becoming much thickened and succulent, enclose the five nutlets and form a five-angled, much-flattened, berry-like fruit half an inch in diameter” と記述されている.
また,Ernest Thomas Cook (1867-1915) の “TREES & SHRUBS FOR ENGLISH GARDENS” 2nd ed. (1908) の p73 には,“CORIARIA JAPONICA is very beautiful in autumn, when it succeeds as well as it does with Canon Ellacombe at Bitton, the fruits being covered then with the persistent petals which are of a lovely coral red.” と,秋になる実の美しさを称えられた.
残念ながら,前述のようにロンドンの気候は合わなかったためか,キュウ植物園での寿命は短く,実も多くはつけず,そのため気候の温暖な Bitton のドクウツギの美しさがよく知られていたようだ.
ドクウツギ (5/5) 毒性,マオリは果汁を,薬用・調味料・酒に,種子撒布はテン・キツネ・サル・鳥?,共生菌で窒素固定
ドクウツギ (4/5) 科名の由来,プリニウス,リンネ,隔離分布,前川文夫,古赤道説
ドクウツギ (2/5) 欧米では庭木として.ツンベルク,グレイ,サージェント,ビーン
ドクウツギ (1/5) 地方名,武江産物誌,本草綱目啓蒙,梅園画譜,農家心得草,救荒並有毒植物集説・中毒症状
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