2011年5月10日火曜日

サクラソウ(15) 七賢人 真如の月

Primula sieboldii cv. Shichi-kenjin & Shin-nyono-tsuki

















 左: 品種名:七賢人,品種名仮名:しちけんじん,表の花色:とき色地紅絞り・目流れ,裏の花色:とき色地紅絞り,花弁の形:広,花弁先端の形:桜,花容:浅抱え咲き,花柱形:短柱花,花の大きさ:中,作出時期:江戸末期.同時に多数の花が咲き,しかもそれぞれが微妙に異なるのを,3 世紀の中国・魏(三国時代)の時代末期に,竹林の中で酒を飲んだり清談を行なった七人の賢人に例えたのだろうか.
 右: 品種名:真如の月,品種名仮名:しんにょのつき,表の花色:白,裏の花色:薄桃,花弁の形:広,花弁先端の形:桜,花容:浅抱え咲き,花柱形:僅長柱花,花の大きさ:大,作出時期:江戸後期,類似品種:藤の里,その他:丈夫で葉が大きい.真如の月とは,真如(永久不変の真理)によって煩悩(ぼんのう)の迷いがはれることを、明月が闇(やみ)を照らすのにたとえていう語.また、雲一つなく輝く明月のことも指す.ふくよかな花容と暖かい色から名づけられたか.

花時には,一面の緋の絨毯とたとえられたサクラソウの群生地も,行楽客達が掘ったり摘んだり,度重なる荒川の氾濫,河川改修などによって,攪氾土の供給がなくなった事,水質の汚染などから衰えた.危機感からか1920年 大正9には田島ケ原サクラソウ自生地が,天然記念物に指定されるが,一方1921年 大正10には『浮間の桜草は近年全く滅んだ。』とされている.さらに関東大震災後,郊外の都市化が急速に進み,自生地はさらに減少.第二次大戦前には自生地の一つ錦ケ原は食糧増産のため開墾され,全域が農耕地となり消滅.1952年 昭和27田島ケ原サクラソウ自生地が国の特別天然記念物に指定された(http://www.scvb.or.jp/info/data/tajimagahara.html).現在旧自生地ではサクラソウ自生地復活の試みがされ,サクラソウ祭りも開催されている(http://www.ukima.info/primula/form/maturi.htm)が,園芸種の混栽や遺伝子汚染が課題となっている.

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