2007年6月 尾瀬が原 |
* その後,毛利梅園の『梅園草木花譜』(1825 序)と内藤尚賢の『増補古方薬品考』(1842)にサンカヨウの記事を見つけたので,別項「サンカヨウ(3/3)」で紹介する.
★飯沼慾斎『草木図説前編(草部)』(成稿 1852年(嘉永5)ごろ,出版 1856年(安政3)から62年(文久2))
「山荷葉 通名
草木図説 第七巻ニ十五葉 NDL |
このサンカヨウ属の植物は,全世界でわずか三種が知られている.本種,中国に分布する Diphylleia sinensis,そして米国に少数が生育する D. cymosa である.ハーバード大学のグレイ教授は,この分布が彼が唱えた「東アジア・北米隔離分布」学説の有力な証拠とした(但し,グレイ教授は日本産のサンカヨウを米国産の D. cymosa と同一と誤って同定した.サンカヨウ(2/2)に記述).
A. tabularis |
米国産の近縁種も,中国産の近縁種も,それぞれ根茎は民間薬として使われていて,前者はCherokee Indians are reported to have used D. cymosa to treat a variety of ailments((通例軽いまたは慢性の)病気,不快)and as a disinfectant(殺菌[消毒]剤) (D. E. Moerman 1986) とあり,後者の薬効は「活血化瘀,解毒消肿。用于跌打损伤,风湿筋骨痛,月经不调,小腹疼痛;外用治毒蛇咬伤,痈疖肿毒」であるとされている.
2008年7月八幡平 |
サンカヨウの根茎に podophillotoxin. pieropodophylin, beta-apopicropodophyllin, kaempferol, quercetin, diphyllin 等が含まれている事は確認されており (Murakami. T., & A. Matsushima. 1961. Studies on the constituents of Japanese Podophyllanceae plants (In Japanese), J. Pharm Soc. Japan 81:1596-1600),抗がん作用が期待できるとのこと.
なお,米国産・漢産・和産,三種の違いについては,S Terabayashi, D E Wofford and T S Ying. "A monograph of Diphylleia (Berberidaceae)," Journal of the Arnold Arboretum 65:57-94 (1984) (http://biostor.org/reference/62083) に詳しい.
サンカヨウ (2/2) シーボルト, ミショウ,チャールズ・ライト,J.スモール,エイサ・グレイ「東アジア・北米隔離分布」, F. シュミット
サンカヨウ(3/3) 鬼臼 新修本草・本草和名・延喜式・本草綱目・和漢三才図会・本草綱目啓蒙・梅園草木花譜,増補古方薬品考
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