Allium cepa = onion BOTTOM “And, most dear actors, eat no onions nor garlic, for we are to utter sweet breath”
-------- A Midsummer Night's Dream, Act 4, Scene 2 by William Shakespeare
前の投稿で「開かないかも」と言ったのが効いたのか,ようやく開花し始めたタマネギの花穂.子房上位の典型的なネギ科の花.
ネギの花はいい香りがするが,タマネギは花もネギ臭がするようだ.タマネギには多くの低分子量の含硫黄化合物が含まれていて,臭いや催涙の元はアリル基(CH2=CH-CH2-)を有する硫黄化合物.「アリル」の語源はネギ類の属名 Allium に由来する。涙の原因となる揮発性のガスはタマネギを切ったときスルホキシドアミノ酸から生成するsyn-プロパンチアール-S-オキシド(CH3CH2CH=S(+)-O(-))とされる.
佐々木倫子『動物のお医者さん』第3回で,チョビが血便・下痢の症状でH大学動物病院を訪れ,漆原教授が「玉ネギ中毒じゃないの」と言って,公輝と二階堂から不信の目で見られるが,実際に羊などの反芻動物やイヌやネコ,ウサギなどは,タマネギや,スープなどのタマネギの調理物を摂取すると,タマネギ由来のアリルプロピルジスルファイドなどがヘモグロビンを酸化することにより、溶血性貧血を起こし,ともない下痢・嘔吐・黄疸・血尿などの症状が引き起こされるとの事.
一方,タマネギには,コレステロール低下作用,血圧降下作用,血小板凝集抑制作用などがあるといわれているが,国立健康・栄養研究所の『「健康食品」の安全性・有効性情報』 では,ヒトでの有効性については信頼できるデータが見当たらず,特に妊娠中・授乳中の安全性については十分なデータがないことから,ヒトでも通常の食事以外からの摂取は避けた方がよいとされている.
ちなみに冒頭の『真夏の夜の夢』での機屋のボトムのせりふ.
坪内逍遥 (1859 - 1935) の訳 (早稻田大學出版部 1915) では
「それから,我等(うら)が大切(でえじ)の俳優(やくしゃ)さんたち,葱(ねぎ)や大蒜(にんにく)を食(くら)つちやァいけねえよ,美(い)い聲(こえ)しねえけりやなんねえだからね,」
と "onion" が「葱」とされている.訳が出版された大正十年当時は,まだタマネギが一般的ではなかったのかも知れない.
福田恒存訳『夏の夜の夢』(新潮文庫,1971年発行)では
「吾が役者連中すべてに言っておくが、玉葱を食ってはいけないぞ、にんにくもだめだ。匂いのいい息をださなくてはいけないからな。」
とちゃんと「玉葱」と訳されている.
-------- A Midsummer Night's Dream, Act 4, Scene 2 by William Shakespeare
前の投稿で「開かないかも」と言ったのが効いたのか,ようやく開花し始めたタマネギの花穂.子房上位の典型的なネギ科の花.
ネギの花はいい香りがするが,タマネギは花もネギ臭がするようだ.タマネギには多くの低分子量の含硫黄化合物が含まれていて,臭いや催涙の元はアリル基(CH2=CH-CH2-)を有する硫黄化合物.「アリル」の語源はネギ類の属名 Allium に由来する。涙の原因となる揮発性のガスはタマネギを切ったときスルホキシドアミノ酸から生成するsyn-プロパンチアール-S-オキシド(CH3CH2CH=S(+)-O(-))とされる.
佐々木倫子『動物のお医者さん』第3回で,チョビが血便・下痢の症状でH大学動物病院を訪れ,漆原教授が「玉ネギ中毒じゃないの」と言って,公輝と二階堂から不信の目で見られるが,実際に羊などの反芻動物やイヌやネコ,ウサギなどは,タマネギや,スープなどのタマネギの調理物を摂取すると,タマネギ由来のアリルプロピルジスルファイドなどがヘモグロビンを酸化することにより、溶血性貧血を起こし,ともない下痢・嘔吐・黄疸・血尿などの症状が引き起こされるとの事.
一方,タマネギには,コレステロール低下作用,血圧降下作用,血小板凝集抑制作用などがあるといわれているが,国立健康・栄養研究所の『「健康食品」の安全性・有効性情報』 では,ヒトでの有効性については信頼できるデータが見当たらず,特に妊娠中・授乳中の安全性については十分なデータがないことから,ヒトでも通常の食事以外からの摂取は避けた方がよいとされている.
ちなみに冒頭の『真夏の夜の夢』での機屋のボトムのせりふ.
坪内逍遥 (1859 - 1935) の訳 (早稻田大學出版部 1915) では
「それから,我等(うら)が大切(でえじ)の俳優(やくしゃ)さんたち,葱(ねぎ)や大蒜(にんにく)を食(くら)つちやァいけねえよ,美(い)い聲(こえ)しねえけりやなんねえだからね,」
と "onion" が「葱」とされている.訳が出版された大正十年当時は,まだタマネギが一般的ではなかったのかも知れない.
福田恒存訳『夏の夜の夢』(新潮文庫,1971年発行)では
「吾が役者連中すべてに言っておくが、玉葱を食ってはいけないぞ、にんにくもだめだ。匂いのいい息をださなくてはいけないからな。」
とちゃんと「玉葱」と訳されている.
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