食用野菜としてのタマネギの歴史は大変古く,青銅時代の住居跡にはイチジクと共に食用としていた形跡が残されている.
古代ギリシアでは紀元前 10世紀から 8世紀,古代ローマでは紀元前 8世紀から栽培されていたと伝えられ,ローマ時代には早くも栽培品種が誕生している.プリニウスは『自然史』で六つの栽培品種を記録している.
一方,古代エジプトでは,ニンニクと共に栽培されていたらしく,紀元前3000年から2700年頃の第一王朝時代から第二王朝時代の墳墓の壁画にタマネギが描かれていて,ピラミッドを建設する労働者の食料のひとつとして利用されていた.旧約聖書には,エジプトから逃れたユダヤ人が,荒野の生活に疲れ,奴隷生活を送ったエジプトの食物を懐かしむ記述に「われわれは思い起すが、エジプトでは、ただで、魚を食べた。きゅうりも、すいかも、にらも、たまねぎも、そして、にんにくも。(民数記 / 11章 5節)」とあり重要な食料の一つであったことが伺える.また,タマネギの防腐効果がすでに高く評価されていたようで,ミイラを作るときに胸,骨盤などの腔所や眼窩に詰められ,ラムネス四世のミイラの眼窩にその痕跡が残っている.

日本にタマネギが伝来したのは,江戸時代に長崎にもたらされたのが最初だといわれているが,タマネギの栽培の歴史は,明治 4 年 (1871) に開拓使次官の黒田清隆が,アメリカから開拓に必要な機械,種子などとともに日本に持ち帰ったのが始まりとされている.
明治 18 年(1885) に東京の大日本農会三田育種場から出版された「船来穀菜要覧」という本には「根菜類」の一つとしての「○葱頭(たまねぎ)」の項に「第一号 ホワ井ト、ポーチュガル」等 13 種のタマネギがそれぞれの栽培法や食味の特徴と共に記載され,「味甘くして甚美なり.欧米人の大に嗜好する所なり」という記述がある(左図).
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