「チャタレイ夫人の恋人- Lady Chatterley's Lover」に現れた植物 2024-1 のリストの,⑰.Daisy.⑱.Crocus.⑲.Creeping-Jenny.⑳.Columbine.に関して,相応する学名,適切と思われる和名,下記5種の訳書における和名を記し,更に古典植物図譜の図版,コレクションからの写真・図を掲げる.古典植物図譜の図版は,BHL,plantillustrations.org 及び NDL のデジタル公開画像より引用した.各植物の詳しい情報は学名から Wikipedia で得る事が出来る.
❶伊藤整訳、新潮社、1964年(※性描写を削除した版)
❷伊藤整訳・伊藤礼補訳、新潮社、1996年(※完訳版)
❸永峰勝男訳、彩流社、1999年
❹武藤浩史訳、ちくま文庫、2004年
❺木村政則訳、光文社古典新訳文庫、2014年
Daisy.3回,Bellis
perennis, ヒナギク:❶雛菊(ひなぎく),❷雛菊(ひなぎく),❸ヒナ菊,❹ヒナギク,❺ヒナギク
①Bourdichon, J., Grandes Heures, p. 90 (1503-1508)
②Oeder, G.C., Fl. Dan., vol. 3, t. 503 (1768-1770)
③Dietrich, A.G., Fl. Boruss., vol. 7, t. 496 (1839)
④Masclef, A., Atlas Pl. France, vol. 2, t. 180 (1890-1893)
⑤Cambridge Sept. 1977
Crocus.3回,Crocus
chrysanthus,C. vernus, クロッカス:❶蕃紅花(サフラン),❷蕃紅花(サフラン),❸クロッカス,❹クロッカス,❺クロッカス
①Crocus vernus, Curtis, W., Bot. Mag. vol. 2, t. 45 (1788)
②Crocus vernus var. obovatus, Curtis, W., Bot. Mag., vol. 48, t. 2240 (1821)
③Crocus chrysanthus, Curtis, W., Bot. Mag., vol. 101, t. 6162 (1875)
④Crocus vernus, Rev. Hort. (Paris), ser. 4, vol. 79 (1907)
⑤1978-3 England, Cambridge, Backs
❶伊藤整訳、❷伊藤整訳・伊藤礼補訳本で crocus の訳とされている「蕃紅花(サフラン)」は,一般的には「番紅花」と記され,雌蕊が薬用・着色用に用いられるアヤメ科の植物のサフラン(学名:Crocus sativus, 英名:saffron).園芸植物のいわゆるクロッカスと同属であるが,種としては異なる.原著者がサフランを登場させたかったら saffron と記すはずなので,この crocus は庭園花卉のクロッカスと考えるが妥当である.
Creeping-jenny.3回,Lysimachia
nummularia, ヨウシュコナスビ:❶藿香(かつこう),❷藿香(かつこう),❸コナスビ,❹ヨウシュコナスビ,❺コナスビ
①Curtis, W., Fl. Londin., vol. 3, t. 14 [149] (1778)
②Hayne, F.G., Getreue Darstell. Gew., vol. 8, t. 16 (1822)
③Lindman, C.A.M., Bilder Nordens Fl., vol. 3, t. 583 (1922)
④藿香,Pogostemon cablin : Watanabe, K., Ill. Useful Pl. South. Reg., vol. 1, t. 33 (1944)
❶伊藤整訳、❷伊藤整訳・伊藤礼補訳本で Creeping-jenny
の訳とされている「藿香(カッコウ)」とは,薬用植物で,英語名: patchouli,別名:パチョリ,学名:Pogostemon cablin.シソ科ミズトラノオ属の植物であり,主に精油(パチョリ油)に加工され利用される.古くから香や香水に用いられている.インド原産.その名前はタミル語で緑の葉を意味するパッチャイ・イライ(タミル語: பச்சை இலை)に由来する.漢方ではパチョリの全草を乾燥させたものを藿香(カッコウ)と呼び藿香正気散などの漢方薬に用いる.なぜ伊藤整が分類学的にも形状的にも全く異なるこの植物名を充てたのか?不明.
Columbine.3回,Aquilegia
vulgaris, セイヨウオダマキ:❶苧環(おだまき),❷苧環(おだまき),❸オダマキ草,❹オダマキ,❺オダマキ
①Bourdichon, J., Grandes Heures, p. 124 (1503-1508)
②Knorr, G.W., Thes. Rei Herb., vol. 1, t. 1 [A] (1750-1772)
③Baxter, W., Brit. Phaen. Bot., vol. 3, t. 221 (1837)
④Cassone, F., Fl. Med.-Farm., vol. 1, t. 27 (1847)
⑤ミヤマオダマキ,Aquilegia flabellate var. pumilla, 2003 June, 礼文島
日本で古くから園芸植物として親しまれているオダマキ(苧環)はミヤマオダマキの園芸種.草丈や花は原種より大きいが,花色は同様.
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