2011年11月15日火曜日

コスモス Cavanille “Icones et descriptiones plantarum”

Cosmos bipinnatus

英国で最初に咲いたコスモスを描いた 1823 年のカーチスの Botanical Magazine (左図)の記述を読むと,メキシコで採集・送付された種からマドリードの王立植物園でコスモスが初めて咲いたのは 1789 年で,文献の初出は 1791年,Antonio Jos. Cavanille (1745 - 1804) の “Icones et descriptiones plantarum” の第一巻であるとされている.(最下図)

そこで,インターネットで検索したところ,この書籍がバレンシア大学でPDF 化されていて,オンラインで閲覧することができる事がわかった.全6巻の ”Icones et descriptiones plantarum” (Madrid, 1791-1801) にはメキシコ,テキサスやフィリピンなどの新スペイン(ヌエバ・エスパニョーラ)から運ばれた多くの植物についての解説と植物画が掲載されていて,その第一巻の第 14 図にコスモスが,第 79 図にキバナコスモス(C. sulphuruos)のなかなか美しい画像が描かれている(右下図).その記述も見つけることが出来たが,ラテン語かスペイン語で書かれているので読解できなかったが,メキシコ植物園の Vincentius Cervantes (1755 – 1829) , I(J)osephus Longinos 及び I(J)osepho Antonio Alzate がメキシコ市近辺の多くの植物をマドリード植物園に送ってきて,その中にコスモスとキバナコスモスがあったらしい.

コスモスの記述には1789 年と 1790 年の10 – 12 月にマドリード植物園で赤紫色の花が咲いたとある.また文中の◎は,リンネが使っていた植物記号で,一年草を表す.

なお,現産地メキシコでは,ピンクの花のコスモスは標高1600~2800mの涼しい高地に多く,オレンジ色のキバナコスモスはやや高温の1600m以下の低地に自生して,すみわけをしている.
冒頭の画像のピンクのコスモスは,サカタの「イエローキャンパス」の種を播いたはずのポットから生育した苗を植えたところ,成長してこの色の花が咲いたもの.種が混入していたのか,どこからか紛れ込んだのかは分からない.

左図 Cavanilles_Icones_1_ tab 14 (1791)
コスモスの原記載図

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