"Mistress Mary, quite contrary,
How does your garden grow?
With silver bells, and cockle shells,
And marigolds all in a row."
from “The Secret Garden” by Frances Hodgson Burnett, Illustration; M B Kork (1911)
メアリー嬢様 あまんじゃく
お庭に植えたは どんな花
銀のスズラン ムギセンノウ
キンセンカまで ならんでる(私訳)
マザーグースの中でも良く知られた “MARY QUITE CONTRARY” の詩にはいくつかのバージョンがあり,F H バーネットの『秘密の花園』で,両親を亡くしてインドから英国に向かう船の中で,不器量でしかめっ面ばかりしていた主人公のメアリー・レノックスを悪童がからかうのに歌った詩には,上記の様にキンセンカが詠われる.
もっとも通常に歌われる詩は
Mary, Mary, quite contrary,
How does your garden grow?
With silver bells, and cockle shells,
And pretty maids all in a row
で『秘密の花園』のそれとは特に最後の行が異なる.この最終行は色々変化し,最も現存する一番古い詩(c. 1744)では,And so my garden grows. で,その他,Sing cuckolds all in a row,With lady bells all in a row.が記録されている(Opie, Peter; Opie, Iona Archibald “The Oxford Dictionary of Nursery Rhymes” (1952)).
2012年8月 Common Corncockle (ムギセンノウ) |
ヨークシャーの荒涼たるムーアの中の館に引き取られたメアリーは,地元の人々や動物達とふれあい,そして閉ざされていた『秘密の花園』を手入れして花たちを美しく咲かせることによって,自分のみならず,叔父と従兄の体と心を健康な世界に取り戻す.
この本は特に日本では多くの支持を得て,翻訳書の数も多い.また,山本史郎著『名作英文学を読み直す』(2011年)第l章 隠されたテクスト―『秘密の花園』にはどんな花が咲いているのだろう? はこの物語の評論として非常に興味深い.また,金井美恵子著『噂の娘』 (2002) では主人公の少女がこの『秘密の花園』を読んで,メアリーと船に同乗していた若い士官のアーチバルド・ロックウッドが,メアリーを見て詩の対象として色々妄想にふける場面を空想している.
なお,『秘密の花園』のいくつかの翻訳からこの詩を引用する.
秘密の花園 岩波少年文庫 吉田勝江訳 (1958)
つむじまがりのメアリさん/おまえのお庭はどうなった?
銀鈴 かいがら キンセンカ/ならんだ ならんだ 一列に
秘密の花園 旺文社文庫 岡上鈴江訳 (1975)
メリーさんは 意地っぱり/あんたのお庭は,どんなです?
銀のつりがね どうかん草/きんせんかまで ひと並び
秘密の花園 福音館書店 猪熊葉子訳 (1979)
つむじ曲がりのメリーさん、/あんたのお庭にゃ何が咲く?
銀鈴花(ぎんれいか)に貝殻菊(かいがらぎく)、/ならんで咲いたは金蓋花
秘密の花園 西村書店 野沢佳織訳 (2000)
つむじまがりのメアリさん/お庭のようす、いかがです〜
銀のベルに、貝のから/それにきれいなキンセンカ/ずらりならんで、咲いてます
銀鈴花(ぎんれいか)に貝殻菊(かいがらぎく)、/ならんで咲いたは金蓋花
秘密の花園 西村書店 野沢佳織訳 (2000)
つむじまがりのメアリさん/お庭のようす、いかがです〜
銀のベルに、貝のから/それにきれいなキンセンカ/ずらりならんで、咲いてます
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