2012年3月3日土曜日

フクジュソウ 2 (2/2) 園芸種 三段咲き

Adonis multiflora cv. “Sandan-zaki”
撮影 いばらきフラワーパーク
(承前)
フクジュソウは,江戸時代の初めから正月の花として特に鉢植えで愛でられていたが,嘉永元年 (1848) 頃から変異品が増えたようで,幕末の泉本儀左衛門著『本草要正』 (1862序) には「フクジュソオ 獻歳菊 此品近年花重弁重々弁段咲花色紅白青絞リ等又重弁替リ茎替リ葉替リ猶多シ年々実生ニテ諸方ヨリ替リ多ク出ス挙ニ暇マアルヘカラス」とあり,「替リノ部」には「紅花類,白花類,八重咲類,段咲類,大輪類,細咲糸咲類,青軸打抜類,絞リ類,変化類,撫子咲類,葉替類,奇品類」に分けて131(一説には126)もの品種が記録されている.紅色系では青梅紅、秩父紅、酒依紅など,白色系では満月白,弁天白,車屋白,清明白など,花形では狂咲き段咲,撫子咲など.現在まで残っているのは少ないが,花弁の先が細かく裂けた「金采」や赤い「秩父紅」などの園芸種が栽培されている.

画像の「三段咲き」は『本草要正』の段咲類の項に「サンダンサキ」と記載されている珍しい品種で,黄金,緑,黄金と三段に咲き,花弁数85~120枚,花径5~6cm と大輪の花で,全開するのにひと月もかかるがその分長く楽しめる.

江戸時代のフクジュソウのモノグラフとしては,群芳園弥三郎ほか画『七福神草』嘉永元 (1848) 成や著者・成立年代不明の『福寿草写生図』(明治の写本?)の画像がネットで見られる(右上図)が,鉢や置台にも江戸の園芸文化の粋が感じられる.

また,英国の有名な植物雑誌,『カーチスのボタニカル・マガジン』の1896年刊には原種と共に,赤い筋が入った園芸種が描かれ(左図),これは『福寿草新(真?)図 Fu Ku Juso Schin Dsu 』というモノグラフからの転写であると記されている.この図譜には21の白,灰色,黄色,緑,紫,ばら色,緋色,八重やナデシコの様に花弁の先が割れた花が描かれている.と日本の園芸種の多様性には驚きながら,あまりの変異に,画家への信頼性に疑問を投げかけている. 失礼な!

Tab. 7490.
ADONIS AMURENSIS.
Native of Mancuria and Japan Adonis amurensis as discovered on or near the Bareya Mts.,on the right bank of the lower Amur river,Lat. 50 N., in what are now called the Amur Provinces of Russia;and it has since been found in Islands of Sachalin, Jesso,and in the north of Nippon.
(中略)
The Japanese work cited above (Fu Ku Juso Schin Dsu) consists of twenty-one figures of varieties, or more probably garden sports of A, amurensis,of all sizes,with single and double flowers, white, grey,yellow,green, purple,roose-colrd. and scarlet. Some are double like "bachelor's buttons; "others are have five laciniate petals, like a Dianthus. The sepals are often represented as ovate,acuminate,and very dark-colrd., and there are deviations from the type which might excite suspicion as the good faith of the artist.

0 件のコメント: