2023年11月7日火曜日

ダルマギク-5 吸蜜昆虫 ホシホウジャク,ツマグロヒョウモン,キタテハ

 Aster spathulifolius 

 一昨年,近所から一株頂き,すぐ挿し木苗を二株作り,昨年その三株を植えたら,広く枝を拡げ,まるで植え込みのようにこんもりとまとまって花をつけた.他のキクと同時期に咲いているが,訪れる吸蜜昆虫は多いように思われる.


 晴れてさえすれば朝早くから夕遅くまで来訪するのは数匹のホシホウジャク(星蜂雀,
Macroglossum pyrrhosticta)で,短い翅を高速で上下し,長い口吻をぴたりと細い管状花に挿し込んで,太った体を空中に静止させ,吸蜜する様は見事で,見飽きることはない.大きなハチやハチドリと見誤る人が多いのも頷ける.


  晴天の日,朝から多数訪ってきたのはキタテハ(黄立羽,Polygonia c-aureum).前翅・後翅ともに橙色に黒い斑点模様だが,後翅の斑点には青色部分が入る.現在来ているのは越冬型で翅の外縁の凹凸が顕著で色もやや濃い.成虫で越冬する.インドシナ半島から中国・台湾・朝鮮半島・日本に分布する東アジア固有種.後翅の裏にはC字型の白い小さな模様があり,種小名の「c-aureum」(金色の"C"の)は,金色の翅(の裏)に "C" の文字が書かれているように見える事に由来する.(左画像)


 充分に大気が温まってから来るのはツマグロヒョウモン(褄黒豹紋,
Argyreus hyperbius).雄・雌とも来る.雄は警戒心が強く,人影が差すとすぐ逃げてしまう.一方雌は花瓣に悠々と止まり,長い時間吸蜜をしている.メスは有毒のカバマダラ(樺斑,Danaus chrysippus)の擬態をしているとの事だが,そのために大胆なのであろうか.優雅にひらひらと舞う飛び方も同種に似ているそうだ.ただしカバマダラは日本では迷蝶であり,まれに飛来して偶発的に繁殖するだけである.南西諸島ではその出現はまれでないが,本土では非常に珍しい.つまり,日本国内においては擬態のモデル種と常に一緒に見られる場所はなく,擬態として機能していない可能性があるが,温暖化の影響で,ツマグロヒョウモンはカバマダラに先行して北上してきたと考えられる.雌雄とも後翅の外縁が黒く縁取られるので,和服の黒い「褄」に例えられてこの名がついた.

 これらの外にも,ハチやハナアブなどの膜翅類やイチモンジセセリのような鱗翅類も多く訪れ,陽だまりのスウィーツ喫茶となっている.

ダルマギク-4 西欧-1 学名原記載文献,マキシモヴィッチ.サバティエ&フランシェ
ダルマギク-3 和-3 オオダルマギク.新種→変種→既存種?Aster Oharai.中井猛之進,北村四郎,YList,POWO, GBIF
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ダルマギク-1 和-1 江戸 佛頭菊,薩摩菊 倭漢三才圖會,諸禽萬益集,廣益地錦抄,草木弄葩抄,絵本野山草,中山傳信録物産考,和訓栞

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