2011年5月16日月曜日

メコノプシス・バイレイイ Himalayan blue poppy,ケンブリッジ大植物園

Meconopsis baileyi = Lt. Col. F M Bailey’s1911-12年にチベットのRong Chu 谷で,F. M. Baileyによって発見され,1924年にウォーデン・ボックスで知られる Frank Kingdon Ward が種子を南西チベットから英国に移入した.一般にヒマラヤの青いケシといえば本種を指し,英名もそうなっているが,主産地は中国雲南省北西部の高山地帯である.この種は過去,葉の形から M. betonicifolia という名も使われていたが,2009年に発見者の名前に由来する現在の学名に統一されるようになった(Meconopsis baileyi and M. betonicifolia - reclassification, http://www.meconopsis.org/spages/baileybeton.html).

アジア原産のメコノプシスは「ヒマラヤの青いケシ」として非常に有名であるが,分布の中心はチベットから中国西部にかけてであり、ヒマラヤはむしろ分布の辺縁域に当たる.英国を中心に栽培・園芸化されている種も中国西部産の種が多い.花色も青以外に赤・黄・白,さらにクリーム・紫・ピンクなどがあり,花色に赤(マゼンタ),青(シアン),黄の三原色が含まれている数少ない植物属の一つとして知られている.花序も総状や単頂,花容もつかみ咲きや上向きなど変化にとみ,また交配しやすいことから,非常にバライティーに溢れた花を楽しめる.英国,特に北部は気候が適しているために露地においても栽培しやすく,エジンバラ王立植物園が種の保全と系統確立の中心となっている(The Meconopsis Group, Royal Botanic Garden Edinburgh. http://www.meconopsis.org/index.html).
残念ながら日本では高地や北海道の一部を除いては露地での栽培は不可能で,東京都薬用植物園,咲くやこの花館などの植物園での冷室で育てられている.

画像は1979年6月にイングランドのケンブリッジ大学の植物園で露地栽培されていた花を撮影.写真での同定はエジンバラ王立植物園の The Meconopsis Group の Evelyn Stevens さんにご協力願った.
大阪で1990年に開かれた「国際花と緑の博覧会」のブータン館で展示されていた本種を見に行ったが,ブータンから開花見込み株が送られてきたのか,萎れてみすぼらしく,期待はずれだった.
なお,私の持っているメコノプシスを描いた複数の英国の植物図譜は,http://psieboldii.blog48.fc2.com/blog-entry-61.htmlで見ることが出来るので,ぜひお越しください.

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