シランの根(偽球茎)からは白及(びゃくきゅう)と呼ばれる漢方薬が取れ,植物名ともなっていたが,『広益地錦抄』によると,薬用になるのはこの白い変種(白蘭(ハクラン))とされている.

「紫蘭(しらん)葉ハささのやうにて中より花出てこいむらさき 白蘭(はくらん)葉ハしらんよりみじかく花しろし」
伊藤伊兵衛『増補地錦抄』(1695)増補地錦抄 巻之六には,
「うすけい 紫らん草のうすむらさき」
伊藤伊兵衛『広益地錦抄』 (1719年)広益地錦抄 巻之五には,
「はくきゅう(白芨)草はなにハ白蘭(ハクラン)といふ 花むらさき成ハ紫蘭(シラン)といふ 薬種にハ白花成を用ゆ」 とある.
また,寺島良安『和漢三才図会』(1713頃)には左図に示すように白及は紅紫色の花をつけ,その根には止血作用など多様な薬効があると記されている.
シランは中国にも分布するが,このシロバナシランは自生しないと見えて,中国の種苗店では「日本 蘭花 Bletilla striata var alba 日本白芨 (白變種~花大~出葉藝) 稀有 野生蘭」として売っている.
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