2010年5月10日月曜日

シラン(紫蘭,白及)

Bletilla striata
紫蘭咲いていささか紅き石の隅目に見えて涼し夏さりにけり 白秋

部以西の湿原や崖下などに自生する地上性蘭の一種.地下にある偽球茎は白及(びゃくきゅう)と呼ばれ,粘液質が多く皮膚や粘膜を保護する作用があるので,漢方薬として止血や痛み止め,慢性胃炎に用いられる.
ラン科植物には珍しく,日向の畑土でも栽培可能なので,観賞用として庭に植えられる.極めて丈夫な植物で,半日陰から日向まで適応し,乾燥にも過湿にもよく耐え,栽培しやすい.

『花壇地錦抄』 元禄八年(1695)草花夏之部,蘭のるい に「葉はささのようで,中から濃い紫の花が出る」とある.
左は『大和本草』のシランの項,下は『大和本草諸品図 上』よりシランの図(宝永6年(1709)).いずれも中村学園のHPより引用.

 
 以前勤務していた会社の方から頂いて,10年以上.よく拡がったが,中部以西の産らしく,霜に弱い.今年は早春の暖かさに誘われて出た芽が遅霜に傷めつけられ,花穂は短く花の数も少ない.来年は霜よけをしてみよう.近くに白いシランを植えているが,今のところ『和漢三歳図会』の記述と異なり枯れてはいない.

 また,『大和本草』や『和漢三歳図会』で「葉が広く短く花がよい別種」として言及されているケイ,ケイラン(=蕙蘭)は,台湾と中国の広東省を主な原産地とする蘭で,古くから日本でも観賞用に栽培されているが,属が異なるシンビジウム属.

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