地面すれすれに咲くこの花の”花粉媒介者”としては,小形のナメクジ・カタツムリ,ヤスデや小形のムカデが挙げられていたが,日本産のタマノカンアオイと,アメリカ産のフタバアオイの仲間で別々に,花が腐蝕臭を出してキノコバエを呼んで花粉を運ばせているという研究が発表された.キノコバエは豪州の地面の下で咲くラン(アンダーグラウンドオーキッド)の”花粉媒介者”であると言われている.
成熟した種はその場で落ちて発芽するので,自然界での分布を拡げる速度は遅く,従って地域的な進化や変異は非常に大きいと考えられ,多くの変種が認識されていたが,最近の遺伝子解析で必ずしもそうではないとの知見がでているそうだ.
中国ではウスバサイシンの仲間の根と根茎を乾燥したものを「サイシン(細辛)」,カンアオイの仲間の根と根茎を乾燥したものを「土細辛」とよび薬にし,日本でも漢方薬として使われることがある.
日本では,江戸時代に”斑入り青軸”のカンアオイを珍重して「細辛」とよび,色々な変異種が愛玩された.現在も江戸時代からの品種が栽培され,その後に発見された品種を加えた「細辛銘鑑」(番付)が愛好家の間で作られている.
おまけは Curtis Botanical Magazine (英) 1840年のタイリンアオイの図譜(石版手彩色).
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