2010年5月24日月曜日

シャクヤク(3)ラテンドレス

Paeonia lactiflora cv. Latin Dress

瓶にさす芍薬の花茎長にかたむきかりて此方に薫る       木下利玄

牡丹は幹の老ひからびて、しかも眼さましく艶なる花を開く処おもしろく、芍薬は細く清げなる新しき茎の上に鮮やかに麗はしき花を開く処美し。牡丹の花は重げに、芍薬の花は軽げなり。牡丹の花は曇りある様にて、芍薬の花は明かなる様なり。牡丹は徳あり、芍薬は才あり。
幸田露伴 『讕言』


ほぼ純白の花弁の内の数枚に,真紅の縁取りが入る八重咲きの西洋シャクヤク.フラメンコを踊るスペインの舞姫の衣装をイメージしているのか.庭の5種のシャクヤクの中では一番遅く咲く.香りは強く,一本の切花で部屋全体が薫りで満たされる.家内のお気に入り.

シャクヤクの蕾にはアリが好んで集まる.見ていると蕾を覆うガクの上を行ったりきたり止まったり.分泌される蜜をなめているようだ.品種により分泌量に差があるのか,ラズベリーサンデーにアリが最も多く集まるが,このラテンドレスにはほとんど来ない.

蕾を齧ろうとしてくる昆虫から花を守ってくれるガードマンなのだろうが,切花にして部屋に持ち込む時には困りもの.息を強く吹きかけて落ちてもらってから持ち込んでいるが,複雑な花びらの構築の中にいるのはどうしても落としきれない.


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