2010年5月30日日曜日

タチアオイ(2)

Althaea rosea (2)アメリカから通販で買った種から咲いた花.色も花弁の形もそれまでになかった.簡単に交雑するようなので,どんな花が出てくるか,楽しみ.通りがかりの人に,研究のために植えているのですか?と聞かれたほど,この季節はタチアオイばかりが目に付く.

手元にある江戸時代の園芸関連の資料を見ると,江戸中期まで現在のタチアオイは「葵,あふい,蜀葵,からあふい」と呼ばれ,立葵はエンレイソウの事を指したと思われる.昨日のタチアオイ(1)で「江戸時代に名が立葵となった」としたが,江戸中期以降のことと考えられる.


☆「花譜」貝原益軒 1694年
蜀葵 あふい 日本人が1474年(大明成化甲午)に明国で初めてこの花を見て作った漢詩が見事だとほめられたと中国の文献を引用.日本に入ったのは平安時代とされるが,その後あまりポピュラーにはならなかったと思われる.花として真紅,浅紅,紫白色,一重,八重がある.若い葉は食べられる.と記す(左,中村学園のHPより引用).


☆「花壇地錦抄」伊藤伊兵衛 1695年
草花夏之部 葵のるい 中末
 くれない  八重ひとへあり花形木綿のはなのことし
 むらさき  ひとへもせんようもあり
 雪白    せんやうとひとへあり
 源氏    うすいろニて花のへりしろし八重一重有り


☆「増補地錦抄」伊藤伊兵衛 1695年
立葵 花しろく葉あふいのことくなる小草なり.あいらしく見事成物
「増補地錦抄」挿絵には小あふい,大あふいがあり,大あふいはタチアオイと考えられる.「広益地錦抄」の記述を考え合わせるとここの「立葵」はエンレイソウの類の様に思われる.(続く

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