2010年5月21日金曜日

シャクヤク(2) ラズベリーサンデー Raspberry Sundae, Evanston Il. がサンデー発祥の地

Paeonia lactiflora cv. Raspberry Sundae 花の大きさに比べて,茎が細い芍薬は,牡丹に比べて繊細な感じを与えるが,それだけ雨に弱い.

貝原益軒は、自宅の庭で花や野菜の栽培し,その経験に基づいて,「花譜」と「菜譜」に肥料の与え方や移植の時期に至るまで植物の栽培方法について詳細に記載した.
「花譜 中巻 四月」1694年の「芍薬」には肥料のやり方,増やし方,土の作り方を事細かに述べると共に「花のとき、しの竹をたて、たすくべし。かたぶきたをるるがためなり。雨ふらば、すだれを以ておほふべし。花すみやかにをちず。花をちて後、茎をきりさりて、元氣を根に帰らしむべし。」とある.現代の愛好家も花茎を支柱で支え,ビニールの傘を立てて花を雨から守る.

そのような保護をしていなかった庭のシャクヤクの花たちは,一昨日と昨日の雨で,重たげに首をうなだれている.切花にして,飾ったほうがよさそうだ.

Evanston の Drugstore
サンデー(sundae)は,アメリカ合衆国で生まれたアイスクリームを主体としたデザートで,ひとすくいのアイスクリームにシロップやチョコレートや果物のソースをかけたもの.花の形や色がラズベリーのシロップをかけたサンデーに似ているから名づけられたのであろう.購入時のラベルにはラズベリー・サンダー(Raspberry Sundea)とあり,ネットや花木園でもその名前で紹介されている場合があるが,誤りと思われる.

Wikipedia によると,私が 1979-80 年に住んでいた米国イリノイ州エヴァンストンは,このサンデーにゆかりがある土地だった.
全米でも最初(1890年)に宗教上の理由から日曜日にソーダ水を販売することを禁じる条例を可決した自治体の一つだったエヴァンストンの Drugstore や菓子屋では,クリームソーダを日曜日に販売できなくなったため,アイスクリームにシロップをかけただけの「ソーダ抜きのソーダ」を合法的に販売し,これをサンデーソーダと呼んだ.しかしこのデザートが月曜日も販売されたため,地元の有力者がこのデザートを安息日 (Sunday) と同じ名前で呼ぶことに反対し,発音は同じのままでつづりが Sundae に変えられたという.

2006年3月に苗を購入.西洋シャクヤクの品種で育て易く,大株になって,柔らかい印象の中輪の花をいくつもつける.八重で,内側の花被は複雑に折りたたまれ,開ききらないうちはオールドローズの花の様に見える.開くと内弁が盛り上がり「冠咲き」になる.蕊はほとんど見えず,甘くさわやかな香りがする.

おまけは欧州原産 Paeonia mascula の多色石版図譜 (Prof. Dr. Otto Wilhelm Thomé Flora von Deutschland, Österreich und der Schweiz 1885, Gera, Germany)

0 件のコメント: