2010年5月25日火曜日

ホオズキ

Physalis alkekengi var. franchetii
『大和本草』には,ほおずき(ほほつき)の語源として,「ホホという臭虫(カメムシ)が好んでこの葉を食べる」からとある.現在も「ホオズキカメムシ」という名前のカメムシがいるが,ホオズキの旧音(旧かなづかい)は「ほほづき」であり,たとえば和名類聚抄(931-938, 早稲田大学図書館蔵:http://www.littera.waseda.ac.jp/wamyou/index.html) では「酸漿」の項に和名として「保々豆岐」としている(「豆」は「づ」(du)音).この当時「づ」と「ず」は別の音であり,「ホホが好き」に由来するのであれば「ほほずき」となるはずであるので,この説は頷き難いとのこと.なお,『大和本草』には他に「“酸漿”はカタバミのことで,ホオズキには“酸醤”を充てるのが正しい.衣類の穢れを落とすのに用い,この色が着いたらムクロジの皮か赤小豆の粉で洗って落とす」と記され,この赤い実(漿果)が呪術的な意味合いを持っていた事が窺える.

家内が近くの小学校で行う「課外授業」の教材とするため,去年の春に種をまいた.二年草なので昨秋は実をつけず,冬を越し地下茎で広がってようやく花をつけた.実とは異なり,花の地味な事.

おまけの写真は数年前の秋に撮った 食用品種 ショクヨウホオズキ (Physalis pruinosa) 一名ブドウホウズキ.実は赤くならず,甘酸っぱく食用にされる.一株だけ田んぼのあぜ道に生えていた.どなたかが実をとるために栽培していたのかは不明. 味見する勇気はなかった.

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