2012年2月19日日曜日

トウキンセンカ Pot-Marigold (2/3) Turner, Geralde, Parkinson, 薬効 Calendulae flos, 欧州薬局方, EMEA, WHO

Calendula officinalis (A double-flowered cultivar (Shin-guro, Black-eyed))Marigold (Calendula) は古くから,薬用としても用いられていたが,花びらから鮮やかな黄色い色素が浸出されるため,サフランの安価な代用品として人気があった.また,チーズやバターに黄色い色をつけるためにも使われた.

ターナーは「この花で髪の毛を黄色に染める人がいる.神様が与えてくれた自然の色ほど満足のいく色ではないが」と書いている.

ジェラードは,オランダの薬屋には,「スープや水薬用に,また異なったいろいろな用途のために……スープは乾燥したマリゴールドがないとおいしくできないので」,樽一杯の大量の乾燥したマリゴールドの花びらが置いてあると記している(左図,ジェラード『本草あるいは一般の植物誌』より).

パーキンソンは,「この花は夏中咲いている.気候が温暖ならば冬でも咲く」といい,また園芸種の大花マリゴールドについて,「園芸種マリゴールドの茎は丸く,緑色で地面からたくさん分枝し,長い平たい葉をつける.葉は先の方が,一番広く,丸くなっているが,茎につく部分は細くなっている.花は花びら(舌状花)の数が実に多く(鱗片状のじとじとした頭から出てくるのだが),幾列にも並んでいて,それがぎっしりと重なり合っているものだから,真ん中のしべ(管状花)はほとんど見えないようなものもあり,花びらの数がもっと少なく,真ん中に茶色の小さなしべの集まりが見えるものもあり,花びらは二列か三列で,真ん中に大きな茶色のしべがあるものもある.花びらの一枚一枚は先の方がやや広がっていて,へりで二,三カ所切れ目が入っている.
花の色は,目もさめるような濃い金色のものもあるが,もっと薄い色のものもある.強い,上品な,よい香りがする.花が終わると,内側へ曲がった鈎形の種子が花頭にできるが,外側の種子がもっとも大きく,内側の種子がもっとも小さい.根は白く,地中に広がる.結実後,根が残ることもあるが,ふつう消えてしまい,出来た種子から発芽する.草も花も食用野菜として大変有益なものである.花は生のものも,乾燥したものもよく,ミルク,酒,肉や魚のスープ,飲み物に入れて用いられるが,心臓の働きをよくし,神経を柔わらげ,心臓や神経の方に集まった悪性の病気を追い払う働きをする.生の花から作ったシロップやジャムも,同じ用途に用いられ,同様の効果がある.」と書いている.(上図,パーキンソン『日当たりの良い楽園・地上の楽園』より)

花びらの殺菌作用や消炎作用は外傷の治療に役立つことがよく知られ,近代では第一次大戦の際,英国の有名な園芸家 Gertrude Jekyll (1843 – 1932) は彼女の土地でキンセンカを大々的に育て,その花を戦傷の治療のためにフランスに送った.

現在でも,欧州では乾燥した花は “Calendulae flos” として欧州薬局方 (EP 5) に “DEFINITION: Calendula flower consists of the whole or cut, dried, and fully opened flowers which have been detached from the receptacle of the cultivated, double-flowered varieties of Calendula officinalis L. It contains not less than 0.4 per cent of flavonoids, calculated as hyperoside (C21H20O12, m. wt. 464.4) with reference to the dried drug.” とあり,規格試験法が収載されている.

更に EMEA (European Medicines Evaluation Agency, 欧州医薬品審査庁) が発行したCOMMITTEE ON HERBAL MEDICINAL PRODUCTS (HMPC) の "MONOGRAPH ON CALENDULA OFFICINALIS L., FLOS” では,伝統的な使用法として,"for the symptomatic treatment of minor inflammations of the skin (such as sunburn) and as an aid in healing of minor wounds.” と “for the symptomatic treatment of minor inflammations in the mouth or the throat.” が挙げられている.

また,WHO (世界保健機構)の Monographs on Selected Medicinal Plants - Volume 2 の “Flos Calendulae”の項には,「薬効を支持する臨床データはないが,”Uses described in pharmacopoeias and in traditional systems of medicine” として “External treatment of superficial cuts, minor inflammations of the skin and oral mucosa, wounds and ulcus cruris”」と記載されている.(続く)

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