米大陸の熱帯地方原産のこの植物は,スペイン経由で英国に入ったものと思われる.しかし,寒い冬のある英国では,育てるのは難しかった様で,ジェラードの“The Herball” (1597) に記述はない.
約 30 年後に出版された,パーキンソンの “Paradisi in Sole” (1629) の “CHAP. LXXXVII, Campana Carulea sive Convolvulus Caruleus. Blew Bell flowers, of blew Bindweede” (p. 358 ) の項に “3. Convolvulus tenmifolium Americanus. The red Bell-flower of America” としてあるのが,ルコウソウと考えられる.
Parkinson “Paradisi in Sole” (1629) |
残念ながらこの花の図は収められていないが,「この希少な植物(なぜなら持っている人は希だし,栽培するのも難しい)はこの寒い国(*注 英国)では殆ど知られていないが,私はこの植物と,栽培する設備と栽培法についてのみ述べる.種をまくと,落ちるまで長い間ついている二つの分岐をもつ二枚の子葉を最初に拡げ,その間から多く枝分かれする茎を伸ばす.自ら絡みつく褐色を帯びるこの茎の節には,葉の中脈の両側に多くの小さく長い葉をつける羽状の葉が両側につく.葉脇から長い花茎を伸ばし,その先端に,ヒルガオ或いはタバコの花によく似た2~3個の小型の長い筒状の花がつく.輝くように赤いこの花の先端は五つに分かれるが,それほどは開ききらない.花が開く前の蕾はヒルガオやベルフラワーの様に折りたたまれている.中心には何本かの細い糸があり,(花後)長い先端の膨らんだ莢となるが,その中には胡椒のような味のする黒い細長い種がある.根は細い糸状で毎年枯れてしまい,(この国では)寒い夜と霜が早期に訪れるせいで,種子をつけるに十分な日照を得る前に,花をつけさせるのは非常に困難である.」と, H 型の子葉や, “bright red colour” の花や葉の形態など,実際に育てた人でないとわからない記述があり,英国のような寒冷な冬のある地方では育てるのが難しいとしている(左上図).
Curtis's Botanical Magazine (1793) |
早春に小型の鉢に2~3個の種を播き,蔓を巻きつける気配を見せるくらいに成長したら,根に球形の土をつけて,植物が這い上がれるように,1~2~3本の4~5フィートの棒を刺した中型の鉢に移す.6月7月に花をつけ,7月には種をつける.
このエレガントな種は,両インドの原生種であり,パーキンソンによって栽培され,かれは "Pard. Terr. (Paradisi in Sole)" で種子について以下のように述べている.「(英国の)寒い夜と霜が早期に訪れるせいで,種子をつけるに十分な日照を得る前に,花をつけさせるのは非常に困難である」と,美しい花と特異な葉をつけるエレガントなこの植物(右図)の魅力を十分に楽しむためには,加温温室あるいは温室(the stove or hot-house)が必要と寒さ対策が重要としている.
中国名は「蔦蘿」もしくは「蔦蘿松」でその種子はアサガオの種(牽牛子)と同様の成分を含み,「全草或根」を採り,「清熱解毒、涼血止痢」の効用があるので,「治癰疽疔癤、痢疾、腸風下血、崩漏、痔、便血」に用いるとしている.
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