2012年10月23日火曜日

ヨウシュヤマゴボウ (2/2) 真紅の実,インク,ワインの着色,太陽光発電パネル

Phytolacca americnana

緑だった果実が,赤紫色に色づいた.
原産地アメリカでは,野草としては目立つためか,有毒ながら食用や薬用として広く用いられていたためか,此の植物には異名が多く,American cancer, American nightshade, American spinach, bear’s grape, cancer-root, coakum, garget, inkberry, inkweed, pigeonberry, poke, pokeberry, pokeroot, pokeweed, red-ink plant, skoke berry, Virginia poke 等十指にあまる.

未熟な実
 ラテン名の属名はギリシャ語の「植物」+ フランス語の「紅い色素のとれる」,種小名は「アメリカの」で原産地に,また米国で一番広く用いられている “poke” はネイティブアメリカン語の「血液―PAK」から来ていて,どちらも,特徴的な果実の赤い色素に由来している.
紅色のこの実を子供が遊んで誤って食べ中毒することも多いことから,米国では庭に生えてきた場合は直ぐに抜く事が勧められている.幼児の場合には数個の実の摂取で死にいたることもあるとか.

しかし,この汁には意外な使い道がある.一つはインクとして用いることで,英名の inkberry, inkweed はそこから来ている.一説にはアメリカ合衆国の憲法はこのインクで書かれたとの事(未確認).実をポリ袋に集めて外からつぶすと,美しい紅色の抽出液がとれ絵具やインクに使えるが,皮膚からも吸収されることから,素手でさわるのは危険.但し,水や日光には弱い.

もう一つはワインの着色剤.昔はこの汁で白ワインを赤ワインに,安い赤ワインを高級なものに変身させていたとか.ヨウシュヤマゴボウのヨウシュは洋酒に由来するという説もあるほど.有毒なのに大丈夫だったのかと昔の事ながら気になってしまう.

また,最近ではこの色素液を用いることで,低出力ながら安価な太陽光発電のパネルの製造をしようとの研究もされている.(http://www.newsobserver.com/2011/12/19/1719502/the-purple-power-of-pokeweed.html

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