2010年12月12日日曜日

リクチメン 綿花

Raw cotton of Gossypium hirsutum  近くの小学校の3年生の総合学習の時間に,「種の不思議,「み」と「たね」を観察しよう!」という,2時間のお話をした.家内はもう7年ほど,私は昨年に続いて2度目.近隣の原野・川原・公園などからあつめた草木の種や実を子供たちに見せて,自分からは動くことが出来ない植物がどうやって子孫の分布を増やそうとしているか,その知恵について考えてもらった.その材料の一つが綿花.そのため,春に種をまき5本ほどを庭で育てて収穫し,教室に展示した.

 夏から秋に咲いた花はやがて落ち,珠のような実がつき,これが,丸々と太り,やがて弾けて中から白い繊維が現れる.弾ける前の実の形(左),何かに似ているなーと思っていたら,ウルトラマンに出てきた地底怪獣ガボラの頭部だった.

 ワタの実は,繊維がもしゃもしゃと美味しくないので動物に食べられないし,鳥が種をついばむには繊維の妨害があるように思われる.見ていると,ワタの実は大きさの割りに質量が低いし丸っこいので,地面に落ちると風でころころと転がっていく.雨にぬれたり湿度の高いところでは繊維がべったりと地面に張り付き,種が地面に固定され,この繊維は腐って種が発芽した後の栄養になる.ワタは高度な風を利用した種子散布の戦略を持った植物で,人間はそれをうまく利用していると思われる.

 なお,この授業で展示し,実際にさわったり,飛ばしたり,剥いたりしてもらった植物のリストは以下の通り.

1. 自分で弾けて: フジ
2. 動物や人にくっついて: アメリカセンダングサ チカラシバ オオオナモミ イノコヅチ
3. 動物に食べられて糞と一緒に排泄されて: ムラサキシキブ ナンテン トウネズミモチ クロガネモチ カラスウリ
4. 動物に食べ物として埋められて: スダジイ マテバシイ コナラ シラカシ クヌギ ウバメガシ トチノキ エゴノキ
5. 風に乗って: ガガイモ アカマツ アオギリ シンジュ
6. 風に転がされて: フウセンカズラ ワタ
7. 水に流されて: ハス ジュズダマ
8.参考資料:カツラの黄葉(においを嗅いでもらった),各種黄葉・紅葉,アオギリの葉,トチの葉

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