2011年9月2日金曜日

ベニスズメ

Deilephila elpenor北欧州,ロシア,中国,インド亜大陸の北部,日本,韓国に分布する大型のガ.日本では最も美しい蛾の一つとされている.主に夜に活動してペチュニア,スイカズラなどの花の蜜を吸う.幼虫は見栄えのよくない「いもむし」で,通常は「象の鼻」を思わせる(これから英名は “Elephant Hawk-moth” )が,驚かされると頭部が膨らみ,目のような斑点がはっきりとして「蛇の頭」のようになる.鳥は,獲物にしようとした時にこの変容に会うと,摂食を中止することが観察されるが,これは蛇と誤認したのか,変貌にびっくりしたことが原因かは分からないとのこと( Wiki English ).

成虫は暗視能力が高く,ヒトが色を全く弁別できない星明かり程度しかない光環境( 10^(-14)cdm^(-2) )でも,青色や黄色を灰色と完全に弁別できることが実験的に明らかにされた.それらの夜行性昆虫は,巨大な複眼をもち,重複像眼と呼ばれるレンズ系による集光構造や個眼内の光受容部位を拡大するなどの工夫によって感度を上げ,さらには神経加重(neural summation)といった神経情報処理によって微弱光の検出を可能にしている.(弘中 満太郎, 針山 孝彦 “昆虫の視覚定位行動とその人工光による変化” 応動昆 Vol. 53, pp.135-145 (2009))
また,最大感度波長の異なるいくつかの単眼をもっていて,そのうちの一つは紫外線を感知できるかららしい.

日本では蝶に比べて蛾は嫌われているが,欧州では必ずしもそうではない様で,このガは,フィンランド,アイルランド,マン島,またブータンで切手の図柄とされている.
イギリス海峡にあるチャンネル諸島のイギリス直轄領の小さな島 オルダニー島 の切手には,スズメガ科のガが 6 種類も描かれている(右図).額面 36 p がベニスズメ.
画像のは庭に落ちていた個体.
なお中国名は「紅天蛾」.

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