Xerochrysum bracteata cv. ‘Monstrosum’,
満開になると中心部の花の柱頭が外に飛び出して,まるで福岡銘菓「鶏卵そうめん」の様に見える.
Alice M Coats は,“Flowers and their histories” (1956, Billing
& Sons) の ”HELICHRYSUM” の項で,ムギワラギク(Helichrysum bracteatum = Xerochrysum bracteata)について「この種のなかで,もっとも良く知られ,もっとも長持ちする種は,不凋花(immortelle)として一般的に知られている多くの永久花 everlasting のふるさととして知られるオーストラリアから1791 年に導入され,英国では半耐寒性の草本として育てられている,ムギワラギクである.数多くの種が葬儀用の花輪として業者によって使われたので,南フランスでは一定の重要性を有する産業として成り立っていた.しかし,(葬儀の飾りとしては)針金とビーズで作られた何の花ともつかぬおぞましい造花にとって変わられた.これ以上は言わぬが花であろう.」と述べている.
英国においては,南欧から Helichrysum
orientale がエリザベス王朝時代に入ってきたが,ターナーもジェラードも乾燥した花しか見ていなかった.ジョン・ジェラード(John Gerard aka John Gerarde, 1545 – 1611 or 1612)“The herbal,
or, General Historie of plantes 『本草あるいは一般の植物誌』” (1597)では,“Golden
Mothwoort, or Cudweede” の名で記載されている(左図)が,「花の形はタンジイやカモマルの中心のボタン状の部分に似ている.種を着ける前に刈り取るとその後その美しさを長く保つ.私自身,友人の Wade 氏にイタリアの Padua から送られてきたものを見ている.長くその姿を保つ事から,神の絵姿や像を飾る花輪として使われたことから「神の花」とも呼ばれた.プリニウスが書いているが,エジプトのプトレマイオス王はこの伝統をもっとも敬虔に守った」としている.さらに「イタリアやスペインの非耕作地,牧場や川の堤防などに,もっとも良く生育している.しかし,英国では見られない(strange)である.」とし,また,蛇毒の解毒や血栓の溶解の他の効用の一つとして「衣料と一緒にこの枝や葉を入れておけば,蛾を防げる.そのためこの植物は Mothwoort や Mothweede と呼ばれるのである.」と記している.
一方ジョン・パーキンソン(John
Parkinson, 1567-1650) は実際に庭でこの植物を育てており,彼の“Paradisi in Sole Paradisus Terrestris (Park-in-Sun's) 『日当たりの良い楽園・地上の楽園』” (1629) において,Helichrysum, sive Amaranthus luteus. Golden
Flower-gentle, Goldilockes, or Gold-flower. の節で 7 つの不凋花の一つとして,3.
Helichrysum Orientate Golden Flower-gentle. として取り上げ,「寒気や霜のない英国東部と南部では育てる事が可能だが,極度の注意が必要で,それでもこの寒い国では長年育て続けるのは難しい」としている.また効用として「リュウマチ熱,利尿,入浴剤,蛾を防ぐ衣類の防虫剤」が挙げられ,「その美しさゆえ異邦人が頭や腕を飾る」と記している(右図).
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