2010年8月8日日曜日

シロバナミヤマタムラソウ~ これ何?3

Salvia lutescens var. crenata f. leucantha「oNLINE 植物アルバム」の~ これ何?掲示板 ~に相談することで,5年越しの疑問に決着がついた.
今年7月の観察会で群馬県の高地の林下に見た白い花をつけたシソ科の植物.指導者は雄しべが突き出していることから「ナツノタムラソウ」と同定した.5年前に栃木県の高地で同じ花を見ていて,その際も同じ指導者から「ナツノタムラソウ」といわれた.しかし,その後図鑑を調べたら「ナツノタムラソウ」は濃い紫色の花をつけるとされていたので,白い花をつけるのは地域的あるいは個体的変種かと思いつつも,釈然としなかった.
しかし,今回地域的に離れた場所でも同じ花を見たので,薄紫色の花をつけるとされるケナツノタムラソウを候補として,掲示板に全体像と部分像をUPしてご意見を伺った.

その結果,setton8 さんから,以下のコメントとシロバナミヤマタムラソウの画像が掲載されているサイトを教えてもらった.
“シソ科のミヤマタムラソウ=ケナツノタムラソウ(Salvia lutescens var. crenata)のように思います。理由は、ご覧になった場所(分布している場所)や、雄しべが少し湾曲してつき出しているように思えること(ナツノタムラソウはほぼまっすぐです。ただ、これは微妙な印象になるかと思います)等からです。
なお、ご投稿の花色は白でしょうか。もしそうなら、白い花のミヤマタムラソウということで、シロバナミヤマタムラソウ(=Salvia lutescens var. crenata f. leucantha) というのがあるようです。“

指摘された通りの特徴を持っており,サイトの画像とも一致するので,シロバナミヤマタムラソウと同定でき,5年越しの疑問が解消した.この掲示板でコメントくださる方々はそれぞれの植物に詳しく,なお分布範囲から種を絞ることが出来るように広い知識を持っておられるので,非常に頼りになる.これからも図鑑だけでは解決できない問題は相談しよう.


図書館から借りてきた,東洋文庫の小野蘭山著「本草綱目啓蒙」(1803 - 1806)を見ていたら,鼠尾草の名前でハル・ナツ・アキノタムラソウの3種が記載されていて驚いた.引用すると
「鼠尾草
タムラサウ(種樹家ニテタムラサウト呼モノハ玉ババキノコトニシテコレト別ナリ)メクログサ加州〔一名〕鼠菊(救荒本草)陵翹(証類本草)鼠尾子(類書纂要)
春夏秋ノ三品アリ。秋ノタムラサウハ、山野二多ク生ズ。冬ヲ経テ枯ズ。脚葉ハ地二就テ叢生ス。霜雪ノ時ハ背紫色、暖ニ向へバ緑色二変ズ。菓ハ五葉(末三葉ニシテ本ニ二葉対ス)ニシテ鋸歯アリ。又七葉(末三葉ニシテ本ニ両対二節)ニモナル。又枝ヲ分テ小升麻(アカセウマ)ノ葉ニ似タルモアリ。春以後漸ク方茎ヲ抽コト七八寸、葉対生ス。梢葉ハ三葉或ハ二葉ニモナル。コノ草変葉多シ。八月長穂ヲナシ、花ヲ開。ヤマハツカノ花二似テ、淡紫色。又白花ノモノアリ。皆六七蕚一節ニ連リ、層層尺余ニ至ル。一種夏ノタムラサウアリ。形状同ジ。山ノ幽谷二生ズ。五六月二花アリ、形大ニシテ深紫色、愛スベシ。又春ノタムラサウアリ。苗葉花穂、共二小ク、茎葉トモニ青シ。春末、花ヲ開ク。白色ニシテ至テ小シ。以上三種通ジテ鼠尾草ナレドモ、秋ノ田村草極メテ多ク、集解ノ説ニモヨク符ス。古来誤テソハギヲ以テ鼠尾草トス。今薬肆モ亦然リ。故ニ和ノ方書ニ鼠尾草トアルハ、ミソハギヲ用べシ。唐山ノ書二鼠尾草トアルハ、秋ノタムラサウヲ用べシ。ミソハギハ救荒本草ノ千屈菜。」

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