莕(あさざ, ヒン)
『本草綱目』(軍部水草類莕葉〔集解〕)に次のようにいう。莕(ミツガシワ科アサザ)はあちこちの池沢にある。茎は白い。葉の径は一寸ぐらいで、蒪(ジュンサイ)に似ていて、やや尖って長く、茎の端にあって水の上に浮ぶ。長短は水の深浅による。根は大へん長く、水底では釵(カンザシ)の股のようになっている。
上は青く下は白い。夏月に黄花を開くが、白花のものもある。実を結ぶが、大きさは棠梨(山果類)のようで中に細子がある。これと蒪とは同類の二種である。
葉〔甘、冷〕 消渇を治す。熱を除去し、小便の出をよくする。搗いて諸腫毒につける。
毒蛇にさされてその牙が肉に入り大へん痛いとき〔本人に知らせず、ひそかに荇の薬でその上を覆い、穿たれたところは物で包んでおく。一時もすれば折れた牙は、自然に出てくる〕。
〔六帖〕みるからに思ひ増田の池に生ふるあさざのうきて世をはへよとか
△思うに、荇の花は小蓮華に似ていて、水上に浮かんでいる。大へん美しい。人家の近くの池には見あたらない。
金蓮花 銀蓮花
『画辞』に、金銀蓮花には二種類ある。湖中に大へん多い。園林盆に水を入れてこれを種(う)える。ただ二色の重台(桜弁)のものだけを珍重する。思うにこれは莕と同類である、とある。
ユーラシアに広く分布し,図譜を示したJ. Sowerby の "English Botany" の Text によれば,イギリスでは “fringed buck-bean(フリンジの着いた鹿の豆)” と呼ばれ,テームズ川の流れの緩やかな場所に生えている.
また,有名な自然科学者ベヒシュタインは,日本でのこの植物について “the inhabitants of Japan, where the fringed buck-bean is also indigenous, eat it as a pickle, simply prepared with salt; or, after simmering it in water, and removing the impurities from the top, they use it in broths.” と言っているとのことだが,ジュンサイと混同しているのではないだろうか.(左図,J. Sowerby "English Botany" (1794, 英) 銅版手彩色)
各地でアサザ個体群の保全や復元,ひいては流域環境の保全を目的として,植栽やシードバンクの掘り出し といった復元・保全活動が行われている.アサザの植栽は護岸の消波や水質浄化に効果があるとされることもあるが,逆に水がよどんで水質が悪化するという意見もある.
保全活動の代表的なものとして知られている,茨城県霞ヶ浦で行われている「アサザプロジェクト」の里親制度で預かった数株を,庭のプランターに水を溜めて育てているが,機会が無くまだ親元に帰していない.
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