Brassica juncea野生化したカラシナ,栽培品に比べると痩せ型との事だが,種としては同一.カラシナはクロガラシとアブラナの両方のゲノムを持つ複二倍体で、中央アジア原産と云われ,種から和芥子(わがらし)を取る為に栽培されていたが,日本全国で野生化し,春にセイヨウアブラナと共に河川敷や川の土手を黄色に彩る.茎葉を野菜として利用する地域はインド・アフリカ・中国・西欧など多いが,種を食品として利用するのは,絞った油をバングラディッシュで,15%程度の油分を含んだ絞りの残から日本で和芥子が作られるのみで,この2カ国向けのほとんど全量がカナダで栽培される.なお,洋芥子(マスタード)の原料はシロガラシ( Sinapis alba )或いはクロガラシ( Brassica nigra )の種である.
セイヨウアブラナ( Brassica napus )との違いは,
1)葉の表面は白っぽくなく,葉の基部は茎を抱かない.
2)下方の葉は羽状に分裂し,へりに歯がある.
3)花の色はやや青みを帯びて見え,花序は総状だが,上方のものは蕾とほぼ同じ高さになる.
4)ガク片は開花時に斜め上方を向く(セイヨウアブラナはほとんど直立して互いに相接する).
何処かから飛んできた種から成長.塩漬けにして重宝しているが,筋が多くてかなり堅い.左は筋向いの畑の群落.肥料たっぷりと見えて高さ2m近くまで伸びている.我が家のはここから飛んできたのかも知れない.
アブラナ科の植物は土壌中の重金属を吸収・蓄積しやすい.Wiki (English) のセイヨウカラシナの記述には B. juncea can hyperaccumulate cadmium and many other soil trace elements. Specially cultured, it can be used as a selenium, chromium, iron and zinc food supplement. と微量金属の供給源としての利点が述べられているが,逆に言うと今回福島第一原子力発電所事故で飛散した放射性セシウムやストロンチウムも吸収・蓄積するということ.この性質は汚染された土壌の浄化に使える可能性と,土壌の汚染度のモニターとしての可能性が考えられる.つまり,土壌中の汚染物質濃度は低くても,キャベツ・カキナ・ブロッコリー・カリフラワー・カブ・ダイコンを調べることにより感度高く汚染度が分かる可能性がある.土壌浄化法としては実際に2007年、NPO法人「チェルノブイリ救援・中部」(名古屋市)が地元の大学などと連携し,汚染された農地約18ヘクタールで菜の花の栽培を行い,アブラナが成長過程で土中の放射性セシウムやストロンチウムを根から吸収し,茎などに蓄える性質を利用し,土壌汚染の改善状況などを調べて一定の効果が認められたとしている.
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8 年前
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