2011年7月25日月曜日

メマツヨイグサ 月見草油,万能薬の王者(King’s Cure-all),健康食品としての効果

Oenothera biennis = Plants which bloom in the second yearいわゆる月見草や宵待草と言われているマツヨイグサの仲間のうち,ツキミソウ(白花)の他は何れも黄花で,全て北南米原産.最初は夕方咲く花を愛でるために移入されたが,ツキミソウ以外は強靱な生命力で野生化し,川原や原野に勢力を拡げている.太宰治の有名な「富士山には月見草がよく似合う」の月見草も当時の分布から,マツヨイグサの類だったろうと言われている.メマツヨイグサは背は高いものの,花が径5㌢以下で,8㌢をこえるオオマツヨイグサやマツヨイグサより小さいから「雌」が付いた.
マツヨイグサ類は,それぞれ特徴はあるが,中間の形状を示す物も多く,我々素人にとって見分けるのは容易でない.ギリシャ語にちなむ属の名(エノテラ)は野獣の酒と言ったほどの意味で,この仲間に根がワインに似た香りを出すものがあり,それを野獣が好んで食べるからだと言われている.英名(属の総称)は Evening primrose 夕方咲く桜草,英国の野生の桜草(cowslip 等)の花は多くが黄色いので,花色の類似性から名付けたのだろうが,かなり大雑把.

数年前,カナダのおみやげに貰った wild flowers の種を大事に蒔いたが,発芽した殆どはメマツヨイグサであった.こぼれ種でどんどん増え,我が家では芽生えが見つかるや,抜かれてしまう雑草に成り下がってしまった.世界中に野生化して広がっているのも頷ける生命力である.

その力の源なのだろうか,「月見草油」が日本でも,健康補助食品としてかなりの高価で売られている.主にメマツヨイグサの種子からヘキサン等の有機溶媒で抽出された後,精製された油だそうだが,約9%のガンマーリノレイン酸を含み,アトピーや高脂血症,さらには痩身や肌荒れにまで効果があるとされている.はじめはアメリカ先住民族の秘薬だったのが19世紀にヨーロッパに渡り,万能薬の王者(King’s Cure-all)として使われた.欧州では現在でも薬局方に収載されており(”Evening primrose oil, refined”),アレルギーに処方されていると聞いている.またドイツのコミッションE (薬用植物の評価委員会) からは、呼吸器系のカタル (過度の粘液分泌に伴う粘膜の炎症) に対してメマツヨイグサの花と根の使用が承認されている. また,独立行政法人 国立健康・栄養研究所のツキミソウ類の健康食品としての効果に対する見解は「健康食品等の素材情報データベース(http://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv_agreement.html?542)」で確認できる.

中国では,マツヨイグサ属 Oenothera は月見草属と訳され,メマツヨイグサは「美丽月见草(美麗月見草)」と呼ばれる(丽 = 麗(繁体字)).
白い花のツキミソウ( Oenothera tetraptera, 中国では四翅月見草)は,日本へは1847年渡来し,京都で待宵草,花戸では宵待草・夕化粧と称された(『遠西舶上画譜5』)とされる(磯野直秀 (2007))が,弱いため現在では野生は珍しい.

O. tetraptera, W Curtis “Botanical Magazine” (1799) 銅版手彩色.

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