2011年8月25日木曜日

オナガ(2) 幼鳥,大和本草,本草綱目啓蒙

Cyanopica cyana
隣家のハクモクレンの枝にオナガの巣があって,そこでヒナが大きくなったようで,昨日2羽,今日は3羽の幼鳥がサクラの木に,葉の中に隠れる様に止まっている.親は上の電線に止まって,周りを見渡したり,ギー・ギーと鳴いたり,時々餌を与えたり.スズメが飛んできても親も子もあまり気にしていないようだ.
幼鳥は親に比べると尾羽が短く,顔も丸く,頭のてっぺんに白い筋が入っている.スタイルは寸詰まりで,丸々としている.色もややくすんでいる.

親が落ち着かずにあちらこちら飛び回るのに対して,じっと動かず,わずかに首を廻すぐらい.非力を自覚して,目立たないようにしているのか.

江戸時代にはサンコウチョウと混同されていたのか,こちらが本家なのか,三光鳥の別名があったようだ.気の強いのは昔からと見えて,『本草綱目啓蒙』には「ソノ性猛シ。烏モ侵スコト能ズ。性質は荒く,カラスもたじたじ」とある.巣の構造は,話してとしては面白いが,実際とは異なるようで,オナガもサンコウチョウも碗形の巣で産卵する.

貝原益軒 『大和本草』 巻之十五 (1709)
鳥鳳(ヲナカトリ) 本草ノ付録ニアリ本朝食鑑ニ尾長鳥アリ
三光鳥 鳥鳳ノ類也月日星卜ナクヤウニ聞ユ日光山其外深山ニアリ大サヒヱ鳥ホトアリ尾甚長シ其形ウルワシ

小野蘭山『本草綱目啓蒙』 (1803―1806) 巻之四十五
山鵲 サンジヤク(通名) 三光チヤウ(伯州) サンコチヤウ(防州) 関東ヲナガ [一名〕知来鳥(通雅)山雀(典籍便覧) 山喜鶉(広東新語)
深山高木ニ棲、人声ヲ聞トキハ鳴。ソノ声、月日星星卜云ガ如シ。故ニ三光鳥卜名ヅク。三光鳥ニハ同名多シ。野州日光山ノ三光鳥ノ形状ハ、大和本草二詳ナリ。桑鳲?(マメマハシ)ニモ此名アリ。此鳥ハ鵲ヨリ小サク、頭白ク、額ヨリ頬下喉二至リ黒毛アリ、腹白色、背淡紫色、翅浅藍色ニシテ少白斑アリ。尾ハ二羽甚ダ長クシテ五六羽短シ。皆浅藍色ナリ。長尾ハ端白シ。尾ノ裏ハ皆黒白淡青相聞ハル。觜尖リテ赤色、末徴黄、脚赤色ニシテ爪黄ナリ。目黄赤色ニシテ淡紅郭ナリ。ソノ巣ハ馬尾ヲ集メテ毯ノ如クシ、口二ツアリ。前後行ヌケニ作ル。尾長クシテ反ルコト能ザル故ナリ。ソノ性猛シ。烏モ侵スコト能ズ。

オナガ(1) 分布,常陸風土記,和漢三才図会

0 件のコメント: