2010年11月10日水曜日

イソギク

Chrysanthemum pacificum
日本特産のキク.千葉県から静岡県及び伊豆諸島の海岸に自生するのでイソギク(磯菊)の名を持ち,種小名も pacificum太平洋の であるが,性質は強健で各地で栽培されている.
地下茎を出して広がり,株立ちになる.葉は厚く,表は緑色だが,裏側は白い毛が密生し,白い縁取りのようにも見える.花期は10〜11月頃で,多数の頭花を散房状につけて,香りがよくて晩秋の日を浴びて輝き,多くの昆虫が訪れる.一般には管状花のみといわれるが,この株の花の外側には短く細い花弁をもつ舌状花があるようだ.

野菜及び花きの大害虫であるマメハモグリバエ Liriomyza trifolii (Burgess) は北アメリカ原産で,1970年代以降世界各地に広く分布するようになった.この分布拡大の中心はアメリカのフロリダらしく,そこから出荷された花きや野菜の苗に本種が寄生していたらしい.しかもこの系統は殺虫剤抵抗性を獲得しており,アメリカばかりでなくアフリカやヨーロッパ諸国でも大問題となっている.我が国では1990年6月頃から静岡県西部地域を中心にハモグリバエが大発生し,キク,ガーベラ,セルリー,トマトなどに深刻な被害を与えている.
オランダのJ. DE JONG & M. VAN DE VRIEは,「イソギクは観賞用のキクよりもこの害虫に対する抵抗性が際立って高い(生みつけられた卵から幼虫への成長を阻害する)ので,交配やその活性成分を同定することによって,マメハモグリバエの被害を防げるのでは」と言っている.(http://www.potatonews.com/leafminers/database/a012.pdf).一方米国では地方によっては,キク白さび病菌の宿主になるため栽培が禁止されている.

庭に来てから10年ほど,地下茎で大きく広がるので若い芽が地表から出ると抜いてコンパクトな株にしている.そのせいかだんだん勢いがなくなってきた.しかし秋の日に輝く花は,Golden button といわれるにふさわしい.

0 件のコメント: