Rhododendron pentaphyllum var. nikoense
春3月に開花したアカヤシオがまた10月にいくつかの花をつけた.ツツジやサツキではこのような「戻り咲き,返り咲き」は珍しくはないが,アカヤシオでは初めて見た.これは今年の夏の猛暑と乾燥により葉がほとんど落ちてしまったことと関連がありそうだ.
毎日新聞(10月5日)によると,大阪府四條畷市では,遊歩道に沿って植えられたヤマザクラが季節はずれの花を咲かせ,長居植物園(大阪市東住吉区)などによると,夏の間に猛暑による水枯れなどで開花を抑制する葉が落ちてしまい,春先のような気候になったこの時期に花が咲いたとの事.
サクラにはフユザクラやジュウガツザクラの様に,春と晩秋と二回花をつける種がある.サクラは気温が30 度に達すると花芽をつくり始めるので,平年7月に暑い日が続くとつぼみの元をつくりだんだん大きくなる.しかし,秋に成長したのでは,花が木枯らしで飛ばされてしまうので,そうはならないように葉から分泌されている植物ホルモンのアブシジン酸が花芽の成長を止める.ところがフユザクラやジュウガツザクラは早めの9月には落葉してしまい,花芽にアブシジン酸がたまらないため,晩秋~初冬でも暖かい日が続くと花をつけて,冬の花見が楽しめる(左2010年1月皇居東御苑).
一方ソメイヨシノやヤマザクラなどの春の一期咲きのサクラでも,葉がアメリカシロヒトリの幼虫に食べられたり,台風で飛ばされたり,あるいは葉が病気で枯れたということになると,芽にアブシジン酸がたまらない状況で落ちてしまい,それである程度暖かい日が続くと,秋に花をつけてしまう.
庭のアカヤシオでも,夏の落葉によって同様のメカニズムで,3月に続き10月にも花が咲いたと思われる.今年の夏の猛暑と少雨は野菜の生育や動物や昆虫の生態に大きな影響を与えたと報じられているが,庭の花々にも影響を与えているので,来年の春が心配.なお,朝日新聞(2月19日)はアブシジン酸とその受容体、さらにたんぱく質の脱リン酸化酵素PP2Cが結合した複合体の三次元構造が明らかになり,干ばつや冷害など厳しい条件下でも農業をするために利用できる可能性が開けてきた.と報じた.
Test
8 年前
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