2010年3月31日水曜日

オオイヌノフグリ

Veronica persica

「犬ふぐり星のまたたく如くなり」 虚子
「空の青淡くうつせる犬ふぐり草摘む子らの指先に散る」 足立ミヨ子


春の到来を告げる青い花の野草として,俳句・短歌で「いぬのふぐり,いぬふぐり」として詠われるのは,このオオイヌノフグリ.名はイヌノフグリ V. didyma var. lilacina (花は薄桃色)に似ていて,大きいからだが,本家のイヌノフグリはほとんど見られなくなっている.
属名のVeronicaは女性の名前で,元はギリシャ語のpherein (bring) とnikê (victory)で,「幸運をもたらす女性」.エルサレムの女性ヴェロニカは,十字架を背負いゴルゴタの丘へと歩くキリストを憐れみ,額の汗を拭くよう身につけていたヴェールを差し出した.キリストが汗を拭き返したヴェールには,キリストの顔がうつされていた.この女性は聖人に列され,聖ヴェロニカとなり、聖顔布を持った絵姿で表わされる.
この聖女と,クワガタソウ属とどういう関連があるか分からない.属の名前の由来を知っている方は教えてください.

可憐な花に似合わず,根が広く拡がり,抜くと土がごっそりと付いてくる困り者.

2010年3月30日火曜日

アメリカスミレサイシン

Viola sororia種々の園芸種のあるアメリカ原産のスミレ.香りはほとんどない.どこからか侵入してきた.非常に繁殖力は強く,種をアリが運ぶのであろう,敷石沿いのアリの巣の近くに多く生えている.
夏には葉はツマグロヒョウモンの幼虫の餌となって食べつくされるが,春になると芽生えてくる.花が可愛いのでそのままにしているが,そのうち退治しなければならないかもしれない.

おまけはこの葉を食べるツマグロヒョウモンの幼虫.派手で幼虫のうちから有毒種の擬態をしているのかと思われる.右は成虫(雌).南方系有毒チョウ カバマダラに擬態しているとされる. どちらも昨年の庭で.
  

2010年3月29日月曜日

イチゴ (オランダイチゴ)

Fragaria ×ananassa Duchesne

‘The strawberry grows underneath the nettle,
And wholesome berries thrive and ripen best,
Neighbour'd by fruit of baser quality.
And so the prince obscured his contemplation.
Under the veil of wildness; which, no doubt,
Grew like the summer grass, fastest by night,
Unseen, yet crescive in his faculty.’
-------------Shakespeare "King Henry V. "


“strawberry” の語源が,わらを下に敷き詰めて実を保護して栽培するからと言うのは,この栽培法が比較的近代になってからなので,この語の古さから見て怪しい.イチゴのつるが地面をむやみに這いまわる( to stray )習性にからめて,stray の廃語になった過去分詞形に由来する.との事.
引っ越してきて直ぐに植えた.最初は優遇され,実のなるのを楽しみにされていたが,今は半分雑草扱い.白い花は冬の終わりから咲くが,実は結びにくい.春以降の赤い実を楽しむのは,ダンゴムシとヒヨドリ.たまに家内.

2010年3月28日日曜日

シダレモモ

Prunus persica cv. (pendula) 早咲きの白い八重のシダレ花モモ.咲きかけの白玉のような蕾も可愛いが,満開になると花のパラソルを広げたようで華麗.実もなるが種ばかり.この種の発芽率は高く,この木もご近所の方が種から育てた30cm程の苗木を十数年前に頂いた.今は高さ3m以上で直径5mに拡がる.プラスチックの鉢植えのまま植えているので(下さった方には内緒),根は底の穴から伸びていると思われる.生命力の強さを感じる.




おまけは昨年の満開の状況.今年はこれより見事なはず.

2010年3月27日土曜日

スイセン ジョンキル

Narcissus jonquilla非常に香りの強い原種系スイセン.香りは甘く,ニホンスイセンのようなさわやかさがないように思われるが,好みかもしれない.糸葉の房咲きで花筒が長いのが特徴.すっきりとした濃い緑色の葉と可憐な花のコントラストがいい.

おまけはバイモ(3月22日)の花の内側.アミガサユリの名前がうなづけるが,一寸グロテスク.








2010年3月26日金曜日

チオノドクサ

Chionondoxa forbesii
List, the winds of March are blowing;
Her ground-flowers shrink, afraid of showing
Their meek heads to the nipping air.
-------William Wordsworth (1770-1850)

チオノドクサは属の名で,訳せば「雪中の華」.ギリシャ語のChion(雪)とdoxa(華麗)に由来.命名者は19世紀のスイスの植物学者ボワシエ(Bossier)で,小アジアの高地の雪中に咲く花を見いだしたという.ユリ科の小球根で確かに寒さの残る2月に咲き始めるが,当地ではスイセンなどに比べると遅く咲くので,なかなか名前の光景は見られない.日本での名前は「雪解百合」.

もう10年以上の「庭の花」だが,背は低く,花の色も地味で存在感は薄かった.時として庭のあらぬ場所から若い芽が突然出てくることがあり,しかも移植しようと掘ってみると球根は地中深い.不思議に思っていたら,スミレやクサノオウと同じようにアリが種子を運ぶのだそう.実ったら種子の構造を見てみよう.

2010年3月25日木曜日

ショウジョウバカマ

Heloniopsis orientalis

日本各地の山地で,少し多湿なところにはえる常緑の多年草.和名は花を猩々(しょうじょう,想像上の酒好きな猿)の赤い顔,葉の重なりを袴にみたてたものという説と,葉が秋に猩々の袴の様に真っ赤になるからだという説がある.子供のころ仙台地方の山地で自生をよく見たが,30年程前には新宿の路上で「ゆきわりそう」の名前で紫や白の花の咲いたのを売っていた.
写真の個体は3年前,庭で日本原産の野草を育てようと,近くのホームセンターで買ったが,次の年は咲かなかった.今年ようやく咲いたが貧弱.来年に期待しよう.接地した葉の先端から,新たな芽(不定芽(無性芽))が出てきているので,これも「ハカラメ」といえる.

おまけは e-Bay の Auction で買った”Curtis Botanical Magazine” 1888 の石版手彩色図譜.

TAB.6986.
HELONIOPSIS JAPONICA
Native of Japan and Corea.

This interesting plant has long been known to botanists,but the genus is now brought for the first time into cultivation. It is spread widely in the mountains of Japan,its altitudinal range,according to Mr.Maries,being from two thousand to seven thousand feet above sea-level
It has lately been discovered in Corea by Mr. W. R. Carles,and it is very likely that the Formosan H.umbellata, Baker,will prove to be only a geographical variety of the same species.
It has the general habit of a large-flowered Scilla,to which genus it was originally referred by Thunberg,but the rootstock is not a bulb,the leaves are persistent and not fleshy in texture,and the small seeds are conspicuously tailed at each end,like those of a Narthecium or Pitcairnia
It appears to be perfectly hardy in England.It was brought to home by Mr.Maries,and first flowered by Messrs. Veitch in the spring of 1881.0ur drawing was made from a plant presented by Messrs. Veitch that flowered in the herbaceous pits at Kew in April, 1887.


2010年3月24日水曜日

ムスカリ

Muscari racemosum種苗店のカタログや園芸店の店先では,色や形が様々なムスカリが売られているが,これは多分原種のMuscari racemosum
トルコから1596年に英国に移入されたこの種の一つの花が,ムスク(麝香)の香りがしたので,この仲間全体の名前になった.
このM. racemosumには杏が熟したような甘い香りがする.深青紫色の花被と白い縁取りの対比がおしゃれ.植えっぱなしで増えるが,花時には葉が野放図に伸びている.園芸店で売っている鉢植えの様に,短い葉で花を咲かせるには,一旦球根を掘り上げておいて秋遅くに植えるとよいとの事.

おまけは INのAuctionで買った”British Entomology” by J. Curtis, 1836 のMuscari racemosum の図譜(銅版手彩色). 

“The Treasury of FLOWERS” (A M Coats, Phaidon, 1975) によれば

This little grape-hyacinth is a native of eastern parts of Britain, of admitted to the garden (as it has been since 16 century) it certainly trends to behave as though it owns the land. Several of the tribe are noted for their scents or smell. The musky scent of Muscari moshata from Turkey gave whole genus its name; it was introduced before 1596. ----- M. botryoides smells of hot starch, as is sometimes called the Starch Hyacinth; and our little M. racemosum has a fragrance of plums. The moss shown alongside is Bentley’s Marble Tortrix (Philalcea Juliana).

2010年3月23日火曜日

ラッパスイセン (4)

Narcissus pseudonarcissus sp.

*
Diaphenia like the daffadowndilly,
White as the sun, fair as the lily,
Heigh ho, how I do love thee!
---- H. Constable : ‘Diaphenia.’
*

花冠は白く,副花冠はクリーム色の品のよいラッパスイセン.品種名は忘れた.
スイセン類は花が終わると,葉がだらしなく伸びて,地面を覆う.しかし球根を太らせ,殖やし,次の年も立派な花を見るためには切る事はできない.いつも葉の枯れるまでそのままにしているが,そのあとに何を植えるかで悩む.去年はホウセンカを植えた.

2010年3月22日月曜日

バイモ

Fritilaria thunbergii
鎮咳・解熱の薬用植物として中国から持ち込まれたらしい.植物画家として知られた元人事院総裁 佐藤達夫は「続 植物誌(1977)」で「茎がひょろ長く,細い葉のさきがくるりと巻いている格好は,武井武雄の童画を見るようだ.」と記した.茎が弱いので,隣の同僚と葉の先を絡ませて風に対抗しようとする知恵の様に思われる.
形として面白いので,黒い紙をバックに撮影し,ソフトで処理し,Karl Blossfeldt (1865-1932) の “Urformen der Kunst” 風の画像にした.



おまけはそのUrformen der Kunst (1928) から,No.55: Adiantum pedatum (クジャクシダ) の新芽(ぜんまい).
なお,Urformen der Kunst の全作品の画像はhttp://www.soulcatcherstudio.com/exhibitions/blossfeldt/で見ることができる.

2010年3月21日日曜日

アカヤシオ

Rhododendron pentaphyllum var. nikoense

春一番の庭の木の花.葉が出ない内に柔らかい桃紫色のふくよかな花を開く.愛子様のお印のシロヤシオと同時に,生垣にと思って十数本を道沿いに植えた.数年たつが,土壌のpHが合わないのか,日当たりがよくて夏に暑すぎるのか,成長がよくない.それでも毎年可愛い花をつけてくれる.今年は花の数が多そうだ.

10本の雄しべが特徴.後ろの黄色いのはKing Alfredの群落.

2010年3月20日土曜日

ホトケノザ

Lamium amplexicaule
「庭の花」としての資格は持っているが,できれば除籍したい.比較的古い外来植物で,コスモポリタン雑草として世界中に広がる.花の下にある丸い葉が茎を包み込むようになっていて,これを仏像が座る蓮華座に見立てた.ホトケノザは開放花のほかに、つぼみのまま結実する閉鎖花をたくさんつけ,きびしい条件下でも種を作る.
オオイヌノフグリの青,ナズナの白と共に,田の畦や農道の法(のり)を紫色に彩ると,春を実感する.とはいえ,いずれの草も庭には居て欲しくない.

食用になる春の七草のホトケノザはコオニタビラコ.こちらは若いときの根生葉を蓮華座と見た名前.

左は米国インディアナポリスの「インディ500」が開かれることで知られるモーター・スピードウェイを訪れたとき,付属のホール・オブ・フェイム博物館の芝生に咲いていたホトケノザ(2002年3月).
Lamium amplexicaule on the lawn of “Indianapolis Motor Speedway Hall of Fame Museum” (in March 2003, when I visited Dan-san)

2010年3月19日金曜日

スイセン 栽培種(3)

Narcissus cv. (3) 葉の高さ20-25cm,花の径6cm程度.葉は棍棒状だが,ジョンキルjonquillaではない.花茎には一輪,稀に2輪のラッパスイセン様の花をつけ,香りがほとんどない点でjonquilla(イトズイセン)と異なる.花被片,副花冠とも薄く上品な黄色.副花冠の一部が長くなる異形の花がある.
「画面の真ん中に一つの花」という「日の丸構図」は写真としては好ましくないが,この花の場合は形の端麗さを強調するため,あえてこの構図にした.




おまけはKing Alfredの群落.奥の一群はサクラのセンダイシダレ(訂正 ヤエベニシダレ)の根元をリング状に囲む.両方一緒に咲けばいいなと思って植えたが,目論見どおりには行かない.

今年はスイセンの成績がよく,道いく人にほめられる.

2010年3月18日木曜日

パンジー(野生種?)

Viola tricolor
家を建ててから直ぐに,近くの農家から頂いて十数年.スミレの仲間なので,種をはじきとばし,毎年あちらこちらから発芽.今の時期は高さ10cm,花の大きさ3cmくらい.園芸種の派手さはなく可憐だが,春も深まるとだらしなく伸びる.花の色や配色はさまざま.

1839年に園芸種のパンジーが市場に現れるまで,パンジーといえばこの野生種.別名 Heartsease (心の慰め,心臓の痛みの軽減).
ハーブとして,てんかん・喘息・皮膚病・湿疹の治療に用いられ,また名前の通り,去痰や胸部疾患の気管支炎や百日咳に効果があるとされた.また利尿作用からリュウマチや膀胱炎にも処方された.花からは黄色,緑色,青緑色の色素が,また葉からは指示薬が作られた.(From Wikipedia)

シェイクスピアが「ハムレット(1600-1602)」でオフェーリアに
“There's rosemary, that's for remembrance. Pray you, love, remember. And there's pansies, that's for thoughts.“ --Ophelia “Hamlet Prince of Denmark” (Act IV, Scene V)
と言わしたときの pansies は勿論,この野生種.フランス語の "pensée" - 思慮,思索”に由来する花言葉に基づいている.

跡見群芳譜からの孫引きで,このせりふの日本語訳を列挙すると

坪内逍遥訳(1933)
オーフィーリヤ  さァ,こゝに迷迭香(まんねんかう)がある.万年も替らぬ証(しるし)の記念ぢゃ.これはお前へ.いつまでも忘れいでや.それからこれが蝴蝶草ぢゃ,物を思へといふぞや.

市河三喜・松浦嘉一訳(1949)
オフェリア  (レアティーズに) これは忘れな草のマンネンロウ,どうぞ,あなた,幾久しくお忘れなく.また,これはパンジー,思出草(おもいでぐさ)よ.

福田恒存訳(1954)
オフィーリア  (レイアーティーズに) これがまんねんろう,あたしを忘れないようにね,お願ひ,いつまでも.お次が,三色すみれ,ものを思へといふ意味.

2010年3月17日水曜日

スイセン 栽培種(2)

Narcissus cv. (2)品種名を忘れた小杯スイセン.赤橙色の副花冠が鮮やか.庭にこれだけ多品種のスイセンがあるとは認識していなかった.まだある.春を告げるまっすぐ伸びた芽とふくよかな花芽,色鮮やかで香りよく長持ちする花がスイセンの魅力.庭に合えばどんどん増える.



おまけは今を盛りのアイス・フォーリス.
Ice Follies in full blossom.
(クリックすると大きい画像を見られます.Please click for larger images.)

2010年3月16日火曜日

ベカナ

Brassica campestris (pekinensis group)
去年の秋の終わり,もちろん葉を食べるつもりで,種を蒔いた.しかし大きくならないまま,花が咲いた.しょうがないので花菜として,若い花茎をおひたしにして食べている.一寸苦味がある春の味.
一緒に植えているブロッコリーやキャベツはヒヨドリやムクドリに食い荒らされるが,この菜は苦味のせいか,被害にあわない.花は明るい黄色,可憐で甘いにおいがする.紫色を帯びた茎との対比も美しい.ベカとは小さいと言う意味らしい.白菜の仲間であるが,結球しないサントウサイの一種.

2010年3月15日月曜日

スイセン アイス・フォリーズ

Narcissus cv. Ice Follies
 Ice Follies (アイス・フォリーズ) とは,直訳すると「氷上の愚行」,1937年に始まったアイス・ショウ(touring ice show)の名前でもある.1979年にホリデイ・オン・アイスに吸収・合併されるまで43年間世界各地で興行.メンバーにはペギー・フレミングやジャネット・リンはじめ,有名な五輪メンバーも属していた(From Wikipedia).

 花の名前は,副花冠のフリルが女性スケーターたちのスカートを思わせるからか?
1950年の写真(左).

大杯スイセン.エレガントな花の形にも関わらず非常に頑健.どんどん増えている.花冠の色は純白から淡黄色の変異があり,カップ(副花冠)は時間と共に黄色から白色へと変わる.

ポール・オースター著『ブルックリン・ファオリーズ』(柴田元幸訳,2012,新潮社)の「訳者あとがき」によれば,「Folly とは「愚行」「愚かさ」の意味であり(中略). Folly が複数になって follies になるとダンスホール,演芸場などで行われる,時事風刺などを盛り込みつつまずは舞台にずらりと並ぶ女性たちの歌と踊りが売りである出し物を指す(後略)」とのこと.

2010年3月14日日曜日

シュンラン (春蘭)

Cymbidium goeringii
春蘭や男は不意に遺さるる  飯島晴子
春蘭のみどりのにごり男とは或る日突然ひとりになる  塚本邦雄
*
植えてから4年目にしてようやく複数の花が咲くようになった.塚本邦雄の「みどりのにごり」とはこのつややかな外花被片の色を言っているのだろうか.いや,内花被側弁の血の色を帯びたみどりであろう.

スイセン 栽培種(1)

Narcissus cv. (1)
ビビッドな鮮黄色の小輪.品種名を知りたくて,米国水仙協会 (American Daffodils Society; ADS) のホームページ ( http://www.daffodilusa.org/index.html ) を訪れたが,花冠と副花冠の色がそれぞれ6種及びその組み合わせ,形で12種の組み合わせで分類されていて,しかも同じ類にも何十種とあり,全部で3000品種以上.しかも増えていく.到底見つけられないとあきらめ,これからは便利なcv.(cultivar (cultivated variety))で逃げることとする.ADSのHPで種々のスイセンの美しい写真を見ることができる.

2010年3月13日土曜日

ラッパスイセン (3)

Narcissus pseudonarcissus L. sp

(continued)

The waves beside them danced, but they
Out-did the sparkling waves in glee:
A poet could not be but gay
In such a jocund company!
I gazed - and gazed - but little thought
What wealth the show to me had brought.

For oft, when on my couch I lie
In vacant or in pensive mood,
They flash upon that inward eye
Which is the bliss of solitude;
And then my heart with pleasure fills
And dances with the daffodils.

---- William Wordsworth; ”The Daffodils”
*

数年前に球根を購入.名は忘れてしまった. King Alfredに比して花茎は短く副花冠が長く,庭にあるラッパスイセンでは花が最も大きいので,仮にQueen Victoriaと呼んでおこう.近くにTete-a-Teteを植えて大小の妙を見てもらっている.

2010年3月12日金曜日

コンテリクラマゴケ

Selaginella uncinata (Rainbow fern)
‘Twas the maiden’s matchless beauty
That drew my heart a-night;
Not the fern-root potion,
But the glance of her blue eye.
          ------------- f. Dryer: The Folk-Lore of Plants
*
夏の葉は独特の照りがあり紺色とも見える.今の時期は寒さに耐えるため,赤褐色から茶色に微妙に異なる枯葉色になるが形がそのまま保たれるので,W. モリスの壁紙の様.下には紺色の葉も見える.

2010年3月11日木曜日

ヒアシンス

Hyacinthus orientalis, natural form

Appolo, with unwitting hand,
Whilome did slay his dearly-loved mate,
Young Hyacinth, the pride of Spartan land ;
But then transformed him to a purple flower.

--------Milton: “On the Death of a Fair Infant,’ IV.
**
*


ヒュアキントスの流した血から生え,Ai, Aiと言う文字が花に書かれているのは,花が血の様に赤いMartagon lilyだというのが通説らしい.
碧青色の基部から赤紫の花弁へのグラデーションが美しく,香りも園芸種に比べれば非常に強い原種に近い種.強健で増えやすい.また,一茎につく花の数が少ないので,野草のような趣が魅力.

2010年3月10日水曜日

スイセン ラッパスイセン (2)

ラッパスイセンの一種
Narcissus pseudonarcissus sp.

*
I wander'd lonely as a cloud
That floats on high o'er vales and hills,
When all at once I saw a crowd,
A host of golden daffodils,
Beside the lake, beneath the trees
Fluttering and dancing in the breeze.

Continuous as the stars that shine
And twinkle on the milky way,
They stretched in never-ending line
Along the margin of a bay:
Ten thousand saw I at a glance
Tossing their heads in sprightly dance.

'to be continued'

--------William Wordsworth "The Daffodils"
**
*

密に植え込んだこのラッパスイセンが花開き,風に花冠を揺らす様はまさにこの有名な詩のまま.もちろん,我が家の庭ではスケールは大分違う.
もらい物なので, 品種名は分からないが,むかし読んだ「渚にて」という小説にちなんで,勝手に King Alfred と呼んでいる.

2010年3月9日火曜日

スノードロップ

スノードロップ Snowdrops
Galanthus nivalis

*
Make Thou my spirit pure and clear
As are the frosty skies,
Or this first snowdrop of the year
That in my bosom lies.
--------------- Tennyson
**
*

イギリスの思い出のあるスノードロップ.蕾をみると,「雪のしずく」とはよくも名づけたと英国人の感性を見直したが,本当は ear's drop つまり滴型のイアリングの形から名づけられたとのこと.
我が家の庭では日当たりがよすぎるのか,年々減っていくのが悲しい.ソーントンのスノードロップの図版はこのリンクへどうぞ.

2010年3月8日月曜日

ハボタン 名古屋縮緬

ハボタン 名古屋縮緬
Brassica oleracea var. acephala f. tricolor
Ornamental cabbage, Flowering kale


ケールの渡来時期は鎌倉時代中期または江戸時代前期とされるが、現在見られるハボタンの作出時期としては、園芸ブームに沸き、草本植物の斑入りなど葉変わりが珍重された江戸中期以降と見られ、縁起のよい紅白二色が好まれたという。(Wikipedia)

2009年のワールドシリーズは,11月4日松井の大活躍で決着が付いた.フィリーズの本拠地,Citizen Ball Parkで行われた試合をTVで観戦していたら,思いがけなくハボタンを見出した.この球場のブルペンは他球場では見かけない2階建て構造をしているが,その2階部分の植え込みに濃い紫色のハボタンが使われていた.通常ならペチュニアやインパチエンス等の花が植えられているのだが,季節が季節だけにハボタンぐらいしか彩りのよい植物がなかったのかもしれない.
Kate-sanにそのように言ったら,“You are amazingly observant! I cannot think of anybody else who would be watching a ball game who would notice this.”との事.

2010年3月7日日曜日

スイセン テータテート

スイセン'テータテート'(ティタティタ)
Narcissus cyclamineus 'Tete-a-Tete'
Happily, this blog won two US resident readers. Kate-san in California and Dan-san in Indiana. Dan-san said “I think Kate and I may have to come over to Japan and inspect your flowers for ourselves as I am sure that pictures do not capture their true beauty (sight and smell).”. I hope they will visit my small garden in the season of Cherry Blossom, the brightest time of my garden.

ミニスイセン.ラッパスイセンの小型のような花形だが,別種.'Tete-a-Tete'とは、フランス語で「ないしょ話」.頭を寄せ合ってひそひそ話しているよう.強健で悪条件の場所でもよく増える.

スイセン 八重咲き

スイセン double type
Narcissus tazentta sp

多分ニホンスイセンの八重種.あまり華麗ではない.また香りも薄い.多弁化にエネルギーを使ったか?

八重咲きになりやすいのは雄しべの多い花.ランやゆりなどの単子葉植物では,雄しべがせいぜい花弁の2倍で八重咲きはまれ.ところが,その例外的な八重咲きがスイセンにはある.ラッパ(副花冠),雄しべ,雌しべが花弁化.   湯浅浩史 朝日新聞「花おりおり」

2010年3月6日土曜日

スイセン Garill

スイセン Garill
Narcissus tazentta sp.


どこから来たのか,忘れてしまったスイセン.香りはあまりないが,白い副花冠が清潔感をかもしだす.
庭にはいくつのスイセンがあるのだろうか.まだ咲かない種もあるので,これから記録も兼ねて画像をUPしていく.

スイセン Paper White

スイセン Paper White
Narcissus tazentta sp.
*
And Narcissi, the fairest among them all,
Who gaze on their eyes in the stream’s recess,
Till they die at their own dear loveliness

------------- Shelly.
**
*
10年ほど前,勤務先の近くの都営住宅が建て直される時に,そこのお庭からもらってきた数株が増えて,年の暮れから咲き続ける.活花にしても長く持ち香りがよろしく,お正月の飾りに重宝している.ただ,花茎が弱く雪が積もると折れてしまうのが欠点.

2010年3月5日金曜日

スイセン ニホンスイセン

スイセン ニホンスイセン
Narcissus tazentta var. chinensis
もう一つの水仙の種類,tazentta.房咲きで香りがよいのが特徴.Narcissusは「匂いをかぐとしびれたように感じるからof Narce(麻酔の)= Narcissusと言う名前がつけられたのであって,詩人が考えたようにナルキッソスと言う少年の名前からつけられたのではない」という説があるくらい.英国では19世紀ごろまでこの匂いは有毒で,頭痛や狂気を引き起こすと信じられていたとの事.花被が白く副花冠が黄色いこの種は日本では「金盞銀台」と呼ばれ,中国では「金杯荐玉盘」とたとえられている.
どういうわけか,我が庭では球根は大きくなり増えるのだが,葉ばかりが繁り花があまり咲かないので,徐々に引退をしてもらっている.

2010年3月4日木曜日

クロッカス

クロッカス
Crocus vernus

*
Thine is the flower of hope, whose hue
Is bright with the coming joy.

---- B. Barton
**
*

遅咲きのクロッカス.早咲きに比べて花被片が丸く大きい.日が翳ると花を閉じるのは,上を向いて咲く花が雨を溜めない工夫か?

2010年3月3日水曜日

エンドウ

アカバナツルアリサヤエンドウ(赤花つる有り莢えんどう)


*
Here are sweet peas, on tip-toe or a flight:
With wings of gentle flush o'er delicate white,
And taper finger catching at all things,
To bind them all about with tiny rings.
--Keats : "I stood tip-toe," 57-60
**
*
白いサヤエンドウの花しか知らなかったので,始めてみた時は「ツターカーメンのエンドウ?」とびっくり.その種を取って,昨年暮れに蒔いて霜よけをしたので,お正月から花が咲いている.

これまで咲いた花は実を結んでいない.受粉する昆虫がいないためか?

2010年3月2日火曜日

スイセン ラッパスイセン


ラッパスイセン アーリー・センセーション(ヒガンバナ科)
Narcissus pseudonarcissus sp

*
‘Daffodils,
That come before the swallow dares, and take
The winds of March with beauty.’

----Shakespeare.
**
*

英語では水仙が種別ごとに表されるが,これは‘Daffodil’.
この品種Early sensationはラッパスイセンの中では最も早く雪の中でも咲く.最近雪が少ないので,その風景が見られない.

2010年3月1日月曜日

フクジュソウ

Adonis amurensis

バンクーバー冬季オリンピックが閉会式を迎え,日本は残念ながらもう一寸で金メダルの銀が三個,そこで金メダルならぬ金色のフクジュソウの花を三個.



この大会の話題は国母選手の服装騒動,そして長野五輪金メダリスト清水宏保氏の朝日新聞でのコメント「スポーツ後進国 日本」ではなかろうか.国母選手の件はヒップホップの意味を単にファッションとして捉えていた個人の問題に帰せるのかも知れないが,清水氏の提言は「スポーツの目的は何か,国はそこにどこまで関わるべきか」という大きな問題を提起している様に思われる.

彼は,国は1)スポーツを国民の健康増進のための文化として確立するために努力すべきだ.生涯スポーツが、また競技スポーツのすそ野となる。2)競技スポーツにも予算をつけて五輪等で選手が十分活躍できるようにするべきだ.とし,その上で
「政府の事業仕分けが行われ、スポーツ予算は削られる方向になった。全体的な削減は仕方がないとしても、仕分けの仕方は適切だろうか。バンクーバー五輪では、JOCの役員、メンバーが大挙して現地入りしている。予算は限られている。そのため、選手を手塩にかけて育てたコーチや、トレーナーがはじき出され、選手に快適な環境を提供できていない。お金の使い方が逆だろう。」と言っている.

また各団体に配分されたスポーツ予算が「中抜き」されて,実際の選手の育成に使われない部分も多いとも言われている.

今回の事業仕分けとオリンピックを機に,国民の税金でまかなわれている交付金の使い道をJOCも各競技団体も透明性を確保した形で提示すべきと思う.