2010年3月31日水曜日

オオイヌノフグリ

Veronica persica

「犬ふぐり星のまたたく如くなり」 虚子
「空の青淡くうつせる犬ふぐり草摘む子らの指先に散る」 足立ミヨ子


春の到来を告げる青い花の野草として,俳句・短歌で「いぬのふぐり,いぬふぐり」として詠われるのは,このオオイヌノフグリ.名はイヌノフグリ V. didyma var. lilacina (花は薄桃色)に似ていて,大きいからだが,本家のイヌノフグリはほとんど見られなくなっている.
属名のVeronicaは女性の名前で,元はギリシャ語のpherein (bring) とnikê (victory)で,「幸運をもたらす女性」.エルサレムの女性ヴェロニカは,十字架を背負いゴルゴタの丘へと歩くキリストを憐れみ,額の汗を拭くよう身につけていたヴェールを差し出した.キリストが汗を拭き返したヴェールには,キリストの顔がうつされていた.この女性は聖人に列され,聖ヴェロニカとなり、聖顔布を持った絵姿で表わされる.
この聖女と,クワガタソウ属とどういう関連があるか分からない.属の名前の由来を知っている方は教えてください.

可憐な花に似合わず,根が広く拡がり,抜くと土がごっそりと付いてくる困り者.

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