2010年7月4日日曜日

キキョウ矮性種

Campanula grandiflora (dwarf type)秋の七草のひとつだが夏も来ないうちに咲いた.背が低く花が大きいのでサミダレギキョウの矮性種か.
キキョウは東アジアに広く分布する多年草で,国内で野生種は減っているが,2008年8月の榛名山麓,日当たりのよい草原のユウスゲの道には多く見られた.

美しい花が古来より愛され,「アサガオ」や「アリノヒフキ」という名で万葉の時代から親しまれていた.かなり早くから園芸品種が成立していたらしく,貝原益軒の『花譜』(1694年)に「紫白二色あり.(中略)八重もあり」と記され,また,伊藤伊兵衛の『花壇地錦抄』(1695年)には絞り咲きや各種の八重咲き,「扇子桔梗(あふききけう)」と名づけられた帯化茎(たいかけい)のものなど8種があげられている.
越中富山藩第10代藩主 前田利保の命で編纂され,1853年(嘉永6年)に序文が書かれた植物図譜『本草通串証図(ほんぞうつうかんしょうず)巻二』には,現在は見ることのできない緑色の八重咲きや濃い黄色,花弁が基部深くまで切れ込んでそれぞれが外側に丸まってウサギの耳のような形になる「兎耳桔梗」,花弁が平皿のような形になる「紋桔梗」などのほか,現在も見られる桃色やウズキキョウ,早咲きのものなど14種が美しい多色木版で収録されている.残念ながら,これらの多様なキキョウの園芸品種は,その多くが明治の中ごろまでに絶えてしまった.根は漢方薬にも利用される.

Curtis Botanical Magazine (英)1805年 銅版手彩色


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