2010年7月5日月曜日

トマト(チェリートマト,ミニトマト)

Lycopersicon esculentum var. cerasiforme
さ庭べにトマトを植えて幽かなる花咲きたるをよろこぶ吾は    斎藤茂吉

栽培されているトマトの中では原種に近い品種.沢山の果実が総状につき,果実を横切りにしてみると中は二つに分かれていて,原種の痕跡を見ることが出来る.大きなトマトは,品種改良の結果これがいくつもの室に分かれている.メキシコ東海岸の南部のベラクルス市近郊では現在でもチェリートマトの栽培種と野生型が見られ,しかも野生種から栽培種への移行をしめす色々な中間型がみられるらしい.

トマトが一般的に食用とされたのは比較的最近.南米から欧州に入った16世紀当初は,果実があまりに鮮やかな赤色だったので有毒と思われ,主に観賞用に育てられていた.食用としての利用が記録されたのは欧州で18世紀中ごろ.したがってイタリア料理に欠かせない素材になったのはそれ以降.

日本では狩野探幽の『草木花写生図巻』(1661-74年)に「唐なすび」として花と緑・黄・赤の実が描かれているが,花弁の先は今のトマトのより丸く,実は稜がはっきりとしている (左図「ボタニカルアートの世界」朝日新聞社編1988より引用).
貝原益軒の『大和本草』(1709年)巻之九 草之五 雑草類に「唐ガキ又珊瑚茄と云う」と記載され,毘留舎那谷著『東莠南畝識』(1731年序,図1723~1748年)の冊巻2には,花弁の先がとがり,実がやや丸いトマトが「珊瑚珠茄子」として描かれていて,国立国会図書館のHPで見ることが出来る.日本で食用として栽培されるのは明治時代.普及するのは第二次大戦以降.

昨年苗で購入したミニトマトの落ちた実から生えてきた.発芽時期は遅く,まだ小さいが既にいくつか実をつけている.ナス科の植物の連作は避けたほうが良いとのことだが,無料で得られた苗なので,実が収穫できたらもうけもの.

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