2010年7月16日金曜日

アサガオ(1)

Ipomoea nil (1)
「見しおりのつゆわすられぬ朝顔の花のさかりは過ぎやしぬらん」 光源氏
「秋はてて露のまがきにむすぼほれあるかなきかにうつる朝顔」 朝顔
源氏物語 二十帖 「朝顔」

中国原産で,遣唐使が奈良時代末期に薬用としてもたらしたとされる.種子は「牽牛子」(けんごし)と呼ばれる生薬で日本薬局方にも収載され,下剤としての薬効が強い.名前の由来は,牛を牽いて行き交換の謝礼としたこととされている(中国の古医書「名医別録」).

日本では薬用と同時に観賞用として価値を認められ,『源氏物語』五十四帖の巻名の一つ(第二十帖)として,また姫君の名前に用いられる.
また,『枕草子』 第六十七段 「草の花は」では,「草の花は、なでしこ。唐のはさらなり、大和のもいとめでたし。をみなへし。桔梗。あさがほ。かるかや。菊。壷すみれ。 -------- 夕顔は、花のかたちも朝顔に似て、いひつづけたるに、いとをかしかりぬべき花の姿に、実のありさまこそ、いとくちをしけれ。などさはた生ひ出でけん。ぬかづきなどといふもののやうにだにあれかし。されど、なほ夕顔といふ名ばかりはをかし」と,清少納言の好きな花のひとつで,当時朝顔は夕顔よりもポピュラーであったことが推察される.
江戸時代には,花・葉の形の変わった「変化(ヘンゲ)朝顔」の栽培が盛んになる.

曜白と呼ばれる種類の朝顔,こぼれ種でこの数年は庭のあちらこちらから生育して,モモなどの木に絡みついて成長.花の時期はきれいだが,秋に枯れた蔓をはずすのは一苦労.最近は不適切な場所に発芽した株は苗の段階で排除しているが,それでも目の届かなかったところでひそかに蔓を伸ばす.

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