2010年6月1日火曜日

タチアオイ(4) 長谷川等伯「松に立葵図」,尾形乾山「立葵図屏風」

Althaea rosea (4)
垣ひとへ庭はひそまる日の吐息立葵の花真紅に咲き居り    太田水穂

中国から渡ってきたとはいえ,鮮やかな彩りの大きな花をもつ背の高いタチアオイは,格好の絵画の対象となり,特に金地屏風などに描かれるとその効果は絶妙.

室町時代に長谷川等伯一門によって描かれた智積院・障壁画「松に立葵図」では太い松の幹の下に咲き乱れるタチアオイが,幹の豪壮さや巌の堅さと対比され,よりいっそうの華やかさとやわらかさで輝いている.










華麗さの琳派にも愛され,重文 尾形光琳筆 「孔雀・立葵図屏風」では孔雀と妍を競い一歩もひいてはいない.
尾形乾山の「立葵図屏風」(左)では白・赤の他に桃色の花をつけた花茎が図案的に散らされており.神坂雪佳の「四季草花図屏風」にも描かれている.
琳派の流れを汲む酒井抱一の「四季花鳥図屏風」「立葵・紫陽花に百合図押絵貼屏風」など数多くの作品にも登場しているが,特に光琳の百年忌に作成した「観世音像」や抱一自ら筆をとり,百年忌の参加者に配った「瓶花図」にはタチアオイが描かれていて,いかに琳派に愛されていたかが分かる.このタチアオイ「アフイ」は「逢う」の隠喩との説がある.

画像をご覧になりたい方は検索をすると見ることが出来る.

このように日本でもタチアオイは古くから愛好され,多くの芸術作品の題材となっている.



0 件のコメント: