どくだみの花のにほいを思うとき青みて迫る君がまなざし 北原白秋
薬草として古くから使われ,日本薬局方にもその花期の地上部がジュウヤク(十薬)として収載されている.白い地下茎を這わしてはびこり,特有のにおいがその存在を主張する.一属一種.双子葉植物の中では非常に進化が遅れている種類で,がく・花びらが未分化の裸花.花びら状の白い4片は総苞で,中央部の軸に雄しべと雌しべしかない淡黄色の微細な花がおびただしく密着する.また,雄しべが完全ではないため,未受精のまま結実する,単為生殖の花としても知られる.
植えた覚えがないが,何かについてきて増え,抜いても抜いても完全には除けない.薄暗い初夏の庭の隅に咲いているのをみると,紫色の葉の裏と相俟って妖気さえ感じるが,白秋の言う「花のにほい」は茎葉の臭気にかくれて感じられない.
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