2010年6月25日金曜日

ツユクサ

Commelina communis花びらは3枚,青い大きいのが2枚と,(画像では苞にかくれて見えないが)小さな白い花びらが1枚下に付いている.学名は、リンネがオランダの植物学者 Jan Commelin (1629-1698) と、その甥 Caspar Commelin (1667-1731) を記念してつけたが,その理由として,「3枚の花弁があり,そのうち2枚は見栄えのするものであるが,3枚目は目立たない.コメリンという植物学者のうち,2人は有名であるが,3人目のコメリンは植物界に何の貢献もしないうちに死んでしまったからである」という.リンネは結構な皮肉屋だったようで,嫌いな植物学者の名前を,トゲだらけの貧相な植物の学名につけたという(今は禁止されている).

古くは日本でこの花を花摺り染めに用い,その色を縹色 (はなだいろ) といった.しかし光や水に弱いので,中国から藍染めが入ると廃れた.一方,簡単に脱色できることを利用して,和紙にツユクサの花の絞り汁を滲みこませたものを作り (青花紙),これを水に浸して得られた青色染料を友禅染や紋染の下絵描きに使う.今日では,花の大きい品種オオボウシバナ (C. communis var. hortensis) を用いる.主産地は滋賀県.

ツユクサの類には全草の抽出物に血糖降下作用があるとされ,オオボウシバナを利用する試みがされている.

花の構造は複雑.一日花で,一つの苞から二つの花が咲くが,一日目の花は溶けて,次の日の花の栄養分になるという優れた省エネ戦略をとる.茎を伸ばし,接地した節から根を伸ばし繁茂するので,庭では困り者.

おまけは幸野楳嶺(1844-1895)筆 「草花百種 明治三十六年(1903) 芸艸堂刊」よりオオボウシバナ-(鴨跖艸(おうせきそう)之一種 洋種)多色木版.e-Bayのオークションで見つけて里帰りさせた.

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