2010年6月30日水曜日

オオバギボウシ

Hosta montana
擬宝珠の長き花茎ひとつたち 日のゆく道に傾きはじむ 斉藤茂吉

蕾や葉の形が橋の欄干の飾り「擬宝珠」に似ていて,葉が大きいので大葉擬宝珠.ちなみに擬宝珠は葱帽子(ネギボウシ 葱の花)⇒ギボウシが元という説がある.
日本原産の世界ブランド.原産地の日本では庭の片隅の花のイメージがあるが,夏が涼しいイギリスや北欧・北米では「とくに,レンギョウ,アセビ,ヤマブキ,アオキ,ギボウシのないヨーロッパの庭園は想像がむずかしいほどだ.」(大場秀章)といわれるほどガーデニングの主役になっている.花は「青ざめた病気にかかったような」(A. M. コーツ)と評されるが,斑入り,ブルー,ライム色の葉を持つ品種が作り出されるなど,観葉植物としての価値が高い.

現在は日本でも属名ホスタの名で,数多くの品種が園芸店の店先を飾っているが,シーボルトが欧州に持っていったコバギボウシはじめ,何種類かの日本のギボウシ類がその先祖の一つと知っている人は少ない.現在でもライデン大学国立植物学博物館にはシーボルト採集標本としてトウギボウシ,コバギボウシ,ミズギボウシの腊葉が残っている.

早春の若葉は山菜のウルイとして,また乾燥させて保存食にも利用され,山かんぴょうの名もある.山形県の最上地方では促成栽培で光を遮断することで,白さと柔らかさを強調したうるいを,生でも食べられる新感覚野菜「雪うるい」として出荷している.

花の中を覗いて見て,濃い紫色の筋が入っていればコバギボウシ,無ければオオバギボウシが見分け方.花茎の高さも葉の大きさも違う.花被の周りが半透明なのが,接写写真でよく見てとれる.フクリンギボウシと一緒に頂いたが,こちらの方が圧倒的に優勢.

おまけは2004年8月に八方尾根で撮影したオオバギボウシ.

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