Tulipa genisneriana cv. (3) Judith Leyster 珍しい配色,特に縞模様のチューリップが求められていた18世紀.
単色のチューリップは単に〝交配用″としか考えられていなかった.当時チューリップは〝突然変異して″縞模様ができると考えられていた.望ましい成果を生み出すために多くの奇妙な工夫がなされた.しかし〝突然変異する″のはウィルスに感染して一橙の病気にかかったために花に変化が起こったのであって,それが花から花に感染していくことは,最近になるまでわからなかった.
初期のフロリストの多くは,縞模様の変種は子球によってしか増殖しないこと,また〝突然変異した″チューリップを混ぜるとそうでなかったものも縞模様になることを知っていた.クルシウス自身もそのようにして変化した球根は生命力が弱いことに気がついていた.
「クルシウスはまた,元の色から変化したチューリップは開花するとすぐに枯れてしまうということも気づいていた.世話をしてくれた人と別れなくてはならないから,色を変えることで最後に恩人の目を楽しませることを喜んでいるかのようである」とツルンフォールは記している.(A.M.コーツ著,白幡訳「花の西洋史 草花篇」 1989年)
合理的と考えられる西欧人が,チューリップには「最後に恩人の目を楽しませることを喜んでいる」と叙情的な感慨を催しているのは興味深い.それだけ,チューリップに対する思い入れが深かったのであろう.
Test
8 年前
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