2010年4月30日金曜日

イトバシャクヤク (ホソバシャクヤク) 「草原の貴婦人」

Paeonia tenuifolia

One native flower is seen-the peony-
One flower, which smiles in sunshine and in storm,
There still companionless,but yet not sad,
She has no sister of the summer field,
None to rejoice with her when spring returns,
None that in sympathy may bend it shead
When evening winds blow hollow o'er the rock in Antumn's gloom.
-Rev. W. L.Bowles ; f. Flower Lore, 199

“peony” の名は,トロイ戦争での神々の戦傷をこの植物の根で冶したという名医 Paeon の名にちなみ,古代ギリシア人はこの植物に大きな畏敬の念を持っていた.Plinyによれば,peony は最も古くから知られた薬草で,太古では医師を paeoni,薬草を paeoniae と呼んでいた.医術の神 Aesculapius は名医 Paeon が Pluto の傷を治したのをねたんで,Paeon を殺してしまった.Pluto はこの恩人を惜しんで,これを peony に変えたという(「英米文学植物民俗誌」加藤憲一 1976 冨山房).

イトバシャクヤクの原産地はヨーロッパの南東部からロシア南部の大草原.英国には1765年に入ったとの事.カーチスの Botanical Magazine の挿絵で有名な植物画家リリアン・スネリングの描いた美しい図譜が、英国王立園芸協会日本支部のHPで見られる(http://www.rhs-japan.org/fs/rhsje/c/a-art107).

2006年にホームセンターで3本の苗を購入.ようやく昨年から咲き出したが,今年は1本には2つ,1本には1つの花がついたが,もう一本には未だにつかない.結構気難しい.園芸種より花は小さく,花期も短いが,真紅の花弁と金色のしべ,そして繊細に切れ込んだ葉が美しい.原産地にちなんで「草原の貴婦人」とでも呼んでおこう.ヤマシャクヤクの白と同時期に咲けば,めでたいのだが.

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